1994 Fiscal Year Annual Research Report
ギランバレー症候群患者血中抗体が認識する微量糖脂質抗原分子の同定と局在の検討
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05670551
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠 進 東京大学, 医学部(医), 助手 (90195438)
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Keywords | ギランバレー症候群 / ガングリオシド / 糖脂質 / フィッシャー症候群 / GQ1b / GM1 / ガラクトセレブロシド / マイコプラズマ肺炎 |
Research Abstract |
ギラン・バレー症候群(GBS)の急性期の血中には、自己抗体としての抗糖脂質抗体が高頻度にみられる。発症後1-2日の血清に既に抗体がみられることから、これら抗糖脂質抗体は先行感染が刺激となって産生されたと考えられる。糖脂質は神経系の細胞膜表面に豊富に存在すること、および抗体価が経過とともに低下消失し本症候群の臨床経過とも対応することから、抗糖脂質抗体は発症に関わる因子である可能性が高い。昨年度はGBS血中抗体の認識する微量糖脂質抗原としてGa1NAc-GD1aを同定した。本年度はさらに症例数を増やし、129例の症例を対象として糖脂質抗体を測定し、各抗体の陽性率や陽性症例の臨床的特徴について検討を行なった。GM1とGD1bにともに結合しGa1β1-3Ga1NAc基を認識すると考えられる抗体の出現頻度が最も高く約4分の1にみられたが、陽性例の臨床所見は様々であった。一方抗GQ1b IgG抗体は、外眼筋痲痺を伴う例に特異的にみられることを従来より報告してきたが、症例数を増やした今回の検討でも再確認された。またフィッシャー症候群も含めて同抗体陽性例の先行感染は大部分が呼吸器感染であることも明らかになった。抗Ga1NAc-GD1a IgG抗体陽性症例は本年度新たに4例が加わり計10例となったが、大部分は消化器感染を先行感染とし、比較的重症で回復の遅い症例が多いという昨年度みられた傾向は同様に認められた。従来抗ガラクトセレブロシド(Ga1-C)抗体についてはあまり報告がなかったが、本年度の検討によりマイコプラズマ肺炎を先行感染とするものに特徴的にみられることも明らかとなった。抗Ga1-C抗体は動物実験で脱髄性末梢神経障害を引き起こすことが報告されており、GBSにおいても脱髄の発症因子として働いていると考えられる。今後さらに未検索の抗原に対する抗体活性を含めて様々な角度から抗糖脂質抗体を検討することが、本症候群の病態解明と特異的治療の開発に結び付くものと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kusunoki S,et al.: "N-acetylgalactosaminyl GD1a is a target molecule for serum antibody in Guillain-Barre syndrome" Annals of Neurology. 35. 570-576 (1994)
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[Publications] Kusunoki S,et al.: "Anti-Gal-C antibody in autoimmune neuropathies subsequent to mycoplasma infection" Muscle & Nerve,. (in press).
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[Publications] Hitoshi S,et al.: "Cerebellar ataxia and polyneuropathy in a patient with IgM M-protein specific to the Gal (β1-3) GalNAc epitope" Journal of the Neurological Sciences. 126. 219-224 (1994)
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[Publications] Kusunoki S,et al: "Unique localization of fucosyl GMl in rabbit spinal cord and peripheral nerve:Immunohistochemical study・・・" Biochimica Biophysica Acta. 1214. 27-31 (1994)
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[Publications] 楠 進 他: "フィッシャー症候群-特異的マーカーとしての抗GQ16抗体-" 日本臨床. 52. 2959-2964 (1994)
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[Publications] 楠 進: "Fisher症候群" Modern Physician. 14. 513-514 (1994)