1993 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝導障害発症機序の解明:ワセリンギャップ法を用いた膜電位固定法によるイオン透過性の検討
Project/Area Number |
05670555
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安田 斎 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80135467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 雅彦 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00227521)
北里 宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20079700)
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Keywords | ラット / 単一神経線維 / イオンチャンネル / ワセリンギャップ法 / 膜電位固定法 / グルコース / ケトン体 / 脂肪酸 |
Research Abstract |
糖尿病における神経機能障害の一因として高血糖や脂肪酸・ケトン体の血中濃度の高値が関与している可能性について検討するために、これらの化合物の神経線維の電気活動に及ぼす影響についてイオンチャンネルレベルで検討し下記の成績を得た。 1.グルコースの影響:D-Glucoseの濃度依存性に一過性に単一神経活動電位の低下がみられた。高濃度においてL-GlucoseはD-Glucoseより活動電位低下が顕著であり、神経線維の活動電位は細胞外浸透圧に影響されることが分かった。2.Stearic acid(SA)の影響:SAはNa-channelのactivationの速度の上昇とK電流の増大をもたらすと考えられた。3.Methyl-n-butyl ketone(MBK)の影響:3mM,5mMでは静止膜電位は変わらず、濃度依存性の活動電位振幅の低下がみられた。膜電流の変化としては、Na電流の減少とK電流の増大が認められた。Na電流をblockするとK電流がやや増大した。3,4-diaminopyridineでK電流を抑制すると、Na電流の減少が認められた。以上よりMBKはNa電流を抑制し、濃度依存性にK電流の上昇をもたらすと考えられた。4.Acetoacetic acid(AA)の影響:20mMのAAにより活動電位の振幅は低下した。膜電流は外向きは変化がなく内向きが減少した。AAはNa電流を抑制し、K^+の拡散を低下させると考えられた。5.3-hydroxy butyric acid(HBA)の影響:20mM HBAで活動電位の振幅は低下し、膜電流は外向きが上昇した。Na電流をblockすると、K電流が増大した。4-aminopyridineでK電流をblockするとNa channelのinactivationの速度が上昇し、Na電流は抑制された。 以上の成績は全て新知見であり糖尿病性神経障害の成因究明や治療方法を考慮する上で貴重である。
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[Publications] Takikawa T,Kitasato H,Shigeta Y: "EFFECT OF CLUCOSE ON MEMBRANE POTENTIAL IN THE RAT MYELINATED NERVE" THE JAPANESE JOURNAL OF PHYSIOLOGY. 43. s70 (1993)
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[Publications] 佐々木智子 安田斎 寺田雅彦 前田憲吾 繁田幸男 北里宏: "ラット単一神経線維とグルコース濃度-膜電位固定法による研究" 糖尿病. 36. 333 (1993)