1994 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝導障害発症機序の解明:ワセリンギャップ法を用いた膜電位固定法によるイオン透過性の検討
Project/Area Number |
05670555
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安田 斎 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80135467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 雅彦 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00227521)
北里 宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20079700)
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Keywords | 運動ニューロン疾患 / ギラン・バレー症候群 / 抗GM1抗体 / 単一神経線維 / voltage clamp / ランヴィエ絞輪 / Na^+電流低下 / K^+電流増加 |
Research Abstract |
運動ニューロン疾患、ギラン・バレー症候群、ある種の末梢運動神経障害では血中の抗GM1抗体が高値を示すことが報告され、これらの抗体の病因性が示唆されている。同抗体の神経障害性を検討する目的で、単一有髄神経線維を用いたvoltage clamp法で同抗体の神経線維に対する電気生理学的効果を検討した。神経細胞外に高GM1抗体を加えた場合、抗体濃度依存性に神経ランヴィエ絞輪部のK^+電流及びK^+コンダクタンスは増加した。一方、この抗GM1抗体により惹起されたK^+電流の上昇は4-aminopyridine(4AP)で抑制された。また抗GM1抗体は補体の存在下で濃度依存性に活動電位及びNa電流の減少と、K^+電流の上昇を引き起こし、高濃度下では著明なleak currentの増大を惹起させた。これらのイオン電流の変化は家兎で感作して作成した抗H^+/K^+-ATPase抗体では起こらず、抗GM1抗体に特異的であった。傍ランヴィエ絞輪部には4-AP sensitiveなK^+チャンネルが豊富に存在することが報告されていることを考慮すると、GM1抗体は傍絞輪部の脱髄を起こし、そのためK^+チャンネルが露出して、K^+電流が上昇した可能性がある。一方、同抗体は補体と共同してNa^+チャンネルをブロックすると共にK^+電流を増加させたが、抗体の濃度が高くなるにつれて、leak電流の上昇がみられたことにより、最終的に軸索膜の高度な障害が惹起されたと考えられる。これらの成績から抗GM1抗体はランヴィエ絞輪部のイオンチャンネルに影響を与え、神経伝導速度の低下や形態学的な異常を惹起させる可能性のあることが明らかとなった。
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[Publications] Takigawa T,Yasuda H,Saida T,Kikkawa R,Shigeta Y: "Antibodies against GM1 ganglioside affect K^+ and Na^+ currcnts in isolated rat myclinated nerve fibers." Ann Neurol. (in press).