1993 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症(ALS)における皮膚および脊髄の架橋結合に関する研究
Project/Area Number |
05670574
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
尾野 精一 帝京大学, 医学部, 助教授 (20191968)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 膠原線維 |
Research Abstract |
筆者のこれまでの研究より筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の皮膚の膠原線維には病理学的、生化学的に特異的な変化のみられることが明らかになった。従って本研究の目的は、このような皮膚にみられた所見が病変の主座である脊髄にみられるかどうか確認することにある。 平成5年度では以下のような研究をおこなった。正常人6例の脊髄C5、Th2、L4の前角、錐体路、後索の各部分をドライアイスの中で凍結したまま約200mg(wet weight)を取りだし、0.015モルのTES bufferで洗浄後、凍結乾燥した。次にN_2を3〜5分間あてた後、115℃、24時間、6規定のHClで水解し、個々のsampleをアミノ酸分析機にかけハイドロキシプロリン(hydroxyproline,Hyp)を測定した。その結果、いずれの部分にも程度の差はあるがHypが証明された。Hypは膠原病線維の特異的な構成アミノ酸であり、このことは脊髄にも膠原線維が存在することを示している。筆者が当初予想したのとは異なり、Hypの量は錐体路、前角、後索の間で有意な差は得られなかった。この理由の1つとして例数が少ないことも考えられるので、今後例数を増やす予定である。また、死後剖検までの時間が症例間で異なっていたためとも考えられるので、死後剖検までの時間がほぼ同一の症例を用いる予定である。脊髄には今まで膠原線維は存在しないとされており、本研究の結果はALSの病態には膠原線維の異常が関与しているとする筆者の考えを支持するものである。
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