1994 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症におけるユビキチン陽性封入体の特異性についての研究
Project/Area Number |
05670578
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Research Institution | Nihon University School of Medicine |
Principal Investigator |
水谷 智彦 日本大学, 医学部, 助教授 (00166018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣見 重雄 日本大学, 医学部, 助手 (40060165)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / ユビキチン陽性封入体 |
Research Abstract |
1.対象:筋萎縮性側索硬化症(ALS)23例、ALS以外の神経疾患(non-ALS)31例、非神経疾患のコントロール37例の腰仙髄である。Non-ALSの内訳は、変性疾患10例、脱髄性疾患3例、感染症疾患5例、腫瘍性疾患6例、その他7例である。 2.方法:各症例の腰仙髄より4μmのパラフィン切片を作成し、一次抗体はポリクロナール抗ユビキチン(Ub)抗体(Sigma,USA)を用い、avidin-biotin complex法にて染色した。Counterstainingは、メチルグリーンにて行った。 結果:ALSでは、前角の神経細胞に、1)繊細な糸状の形態を有するskein-like inclusion body、2)円形封入体ないしdense body(HE染色ではレビ-小体様封入体)、3)顆粒状封入体、の3種類のUb陽性封入体が認められた。Skein-like inclusion bodyは、23例中19例のALS、31例中1例のnon-ALSにみられたが、コントロール例では見い出せなかった。ALSにおけるskein-like inclusion bodyの頻度は、non-ALS例およびコントロール例よりも有意に高かった。(p<0.01)。なお、skein-like inclusionが認められたnon-ALSの1例は、末梢神経のリンパ腫浸潤により脊髄前角細胞にcentral chromatolysisのみられた症例であり、封入体はALSの繊細な糸状のものに比べて粗であった。免疫電顕上、ALS例に認められた顆粒状封入体とnon-ALS例にみられたskein-like inclusionは、ALSのskein-like inclusionに類似した構造を呈していた。 4.考察と結論:本研究のように、多数のnon-ALS例を検索した報告は稀であるが、我々が検索した封入体の頻度からみても、Ub陽性skein-like inclusion bodyはALSに特徴的な異常であり、これはこれまでの報告を更に裏づけるものであった。類似した封入体はnon-ALSの1例にもみられたが、免疫組織化学染色上、封入体の性状が異なっていた。なお、non-ALSにみられたUb陽性封入体の電顕的検索は、これまで報告されていないものである。
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[Publications] 水谷智彦: "脊椎脊髄疾患(伊藤達雄、服部孝道、山浦晶編)" 三輪書店、東京(発行予定),
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[Publications] 水谷智彦: "モダンコンセプト神経内科5(田代邦雄、水野美邦、栗原照幸編)" 医学書院、東京(発行予定),