1994 Fiscal Year Annual Research Report
ハンセン病患者の老年性痴呆出現頻度に関する疫学的・臨床病理学的研究
Project/Area Number |
05670581
|
Research Institution | National Institute for Leprosy Research |
Principal Investigator |
和泉 眞蔵 国立多摩研究所, 生体防御部, 部長 (70203049)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 真澄 国立多摩研究所, 生体防御部, 研究員 (20260325)
川津 邦雄 国立多摩研究所, 生体防御部, 主任研究官 (50109930)
|
Keywords | ハンセン病 / 老年痴呆 / 老人斑 / 神経原線維変化 |
Research Abstract |
らい患者37例(平均年齢76.3歳)、アルツハイマー性痴呆患者5例(平均年齢79.0歳)、痴呆のない対照例23例(平均年齢77.6歳)の脳について病理学的に検討した。 その結果、らい患者脳の27%にβアミロイドの沈着を認めたが、これは対照群の47.8%に比して有意に低値であった。また、老人斑のサブタイプについてみると、タイプIIIの斑がらい患者では対照群より有意に少なかった。一方、側頭葉皮質の神経原線維変化はらい患者に有意に高かったが、海馬のCA3錐体路のニューロンはらい患者では良く保存されていた。これらの結果から、次の諸点が明らかになった。 1)らい患者ではβアミロイドの沈着の危険性は少ないが、tau沈着の危険性が高い。 2)らいでは、tauの沈着はβアミロイドの沈着とは相関しない。 3)軸索の消失とtauの沈着は関係がない。 現時点までの研究では、らいに見られるこの様な差が、らいの経過と直接関係するのか、治らい剤服用の影響か、環境因子のためか、あるいはらい患者の遺伝的背景の影響かなどについては明らかにできなかった。
|
Research Products
(1 results)