1993 Fiscal Year Annual Research Report
静脈系の緊張調節における内皮由来血管作動性物質の役割
Project/Area Number |
05670601
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
伊藤 裕康 岐阜大学, 医学部, 助教授 (70021475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湊口 信也 岐阜大学, 医学部, 助手 (20190697)
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Keywords | ACE阻害剤 / Acetylcholine / Indomethacin / 摘出大腿動・静脈 / Prostaglandin F_2α / 内皮由来血管拡張物質 / Nitric Oxide / L-nitroarginine |
Research Abstract |
イヌ大腿動・静脈を摘出して、内皮を温存した幅約4mmの輪状標本を作成し、95%O_2-5%CO_2を通気したKrebs-Henseleit液中に懸垂して等尺性張力を測定した。(1)Captopril(CAP)は前収縮のない、あるいはphenylephrine(PE)、angiotensin(AT)II,prostaglandin(PG)F_2αにより前収縮した動・静脈を拡張せず、直接的拡張作用を認めなかった。(2)bradykinin(BK)はPEあるいはPGF_2αにて前収縮した動脈を用量依存性に拡張し、これはnitric oxide(NO)の合成阻害剤(L-nitroarginine;L-NA)により収縮に転じたことから、BKによる動脈拡張作用はNOを介することが示唆された。一方、BKによる静脈の拡張は動脈に比べて少なく、高濃度では収縮した。この軽度の静脈拡張はL-NAによりほとんど抑制されず、indomethacin(IM)により抑制された。(3)Acetylcholine(Ach)も動脈を用量依存性に拡張し、この拡張はL-NAにより抑制されたが、静脈に対して、Achはほとんど拡張作用を示さず、高濃度では収縮した。(4)外因性に投与したNOは動・静脈をほぼ同程度に拡帳した。 以上の成績から大腿静脈では動脈に比べてBKの拡張作用が弱く、その理由として静脈でのNOの作用が弱いためではなく、NOの産生が少ないためと推定された。(5)BKの動脈拡張作用はCAPにより増大したが、静脈への作用はCAPに影響されなく、また、Achの血管作用はCAPの影響を受けなかった。 この成績から動脈壁でのkininase IIによるBKの分解に対する抑制はCAPの動脈拡張作用に関与することが示唆された。
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