1995 Fiscal Year Annual Research Report
静脈系の緊張調節における内皮由来血管作動性物質の役割
Project/Area Number |
05670601
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Research Institution | GIFU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
湊口 信也 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (20190697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 喜代治 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (30202592)
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Keywords | dopamine / EDRF / α_2-adrenoceptors |
Research Abstract |
【目的】dopamine(DA)は心不全治療薬として汎用されているが、DAの血管に対する作用は、未だ明らかでない。当教室において、摘出イヌ股動・静脈では、DAは動脈にて主にα_1受容体を介し、静脈にてα_1とα_2受容体の両者を介して収縮させ、DAによる動・静脈の収縮作用機序は相違することを明らかにしてきた。今回、更に、内皮α_2受容体は内皮由来弛緩因子(EDRF)を遊離するといわれていることより、DAの摘出イヌ股動・静脈収縮が内皮α_2受容体の刺激により遊離されるEDRFにて、修飾されているか否かを検討した。【方法】イヌ股動・静脈を摘出、内皮を温存した約5mmの輪状標本を作製、Krebs-Henseleit溶液中に懸垂し、等尺性張力を測定した。なお、内皮を綿棒にて擦過除去した標本についても同様の検討を行った。【結果・考案】(1)α_2-agonist[clonidine(CL:1×10^<-9>〜1×10^<-4>M)]は静脈のみを収縮し、動脈を収縮させなかった。NO合成阻害剤[NG-nitro-L-arginine(L-NA:1×10^<-5>M)]前処置により、CLの静脈収縮反応は増強したが、動脈に変化はなかった。これより、L-NA前処置後のCLによる静脈収縮の増強はα_2受容体を介するEDRF遊離のためと推定された。(2)DA(1×10^<-9>〜1×10^<-4>M)は動・静脈を収縮、L-NA(1×10^<-5>M)前処置にて、この収縮反応は増強し、DAは動・静脈にてEDRFを遊離させることが示唆された。(3)内皮除去により、DAの動・静脈収縮は増強したが、L-NA前処置後、DAの動・静脈収縮作用の増強は認めなかった。(4)α_2-antagonist[yohimbine(YOH:1×10^<-7>M)]前処置にて一部抑制されたが、DAは静脈を収縮させた。YOH及びL-NAの前処置では、このDAの静脈収縮は変化しなかった。しかし、動脈では、DAによる収縮はYOH,YOH+L-NA前処置にて変化しなかった。以上の成績から、DAは動・静脈をともに収縮したが、この収縮はDAのα_2受容体を介して遊離せしめたEDRFにて拡張的に修飾されていることが示唆された。【総括】摘出イヌ股動・静脈は内皮α_2受容体を介しEDRFを遊離し、DAは内皮α_2受容体を刺激し、EDRFを遊離せしめていることが示唆された。
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[Publications] H.Ito, S.Minatoguchi, et al: "Baroreflex Modifies the Effect of Vasodilators on Systemic Capacitance Vessel in Dogs" Veins: Their Functional Role in the Circulation. 79-89 (1993)
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[Publications] S.Minatoguchi, H.Ito, et al: "Modulation of noradrenaline release through presynaptic α_2-adrenoceptors in congestive heart failure" American Heart Journal. 516-521 (1995)