1993 Fiscal Year Annual Research Report
stunned myocardiumの回復過程における局所心筋動態
Project/Area Number |
05670608
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久萬田 俊明 京都大学, 医学部, 助教授 (70127760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 孝 京都大学, 医学部, 助手 (50178290)
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Keywords | stunned myocardium / 虚血 / 局所壁運動 / 後負荷 |
Research Abstract |
【目的】短時間虚血後の再潅流中に生じる左室局所心筋機能と後負荷との関係を検討した。 【方法】麻酔開胸犬(15-20Kgの雑種成犬をpentbarbitalで麻酔)を使用した。左室心尖部からKonigsberg圧力計とポリエチレンチューブを挿入し左室内圧測定用とした。下行大動脈に動脈狭窄用のテープを装着し血圧上昇用とした。左冠動脈前下降枝(LAD)第一対角枝の遠位部に結紮用テープを装着し冠動脈の短時間虚血用とした。左室赤道部前壁(虚血領域)と後壁(正常潅流領域)に壁厚および心筋長測定用の超音波クリスタルを各々一対植え込んだ。計測したパラメータは、(1)左室内圧、(2)左室壁厚(W)、(3)左室心筋長であり、これらの信号はポリレコーダおよびTEACデータレコーダに記録した。 上記パラメータを記録した後(結紮前値)、大動脈を狭窄して左室圧を30-40mmHg上昇させた(後負荷上昇)。次いで、LADを5分間結紮した後、直ちに完全開放し(再潅流)、10分毎に後負荷を上昇させた。 【結果】虚血側の壁厚増加率(%IW)および心筋短縮率(%IL)は再潅流後5分以内に結紮前値またはそれ以上に上昇したが、その後低下し15-20分後には最低値となった。その後%IWと%ILは再び上昇し始め、再潅流後60分では結紮前値近くまで(85±10%)回復した。しかしこの時点で後負荷を上昇させると、虚血部の%IWと%ILはともに健常部以上に低下した。この時虚血側のEmaxは結紮前値に比し有意に低下していた。また、虚血側の収縮期及び拡張期心筋張力(圧(P)x心筋長(L)/壁厚(W)で評価)も増加傾向にあった(p<0.1)。一方、健常側の壁厚増加率(%CW)および心筋短縮率(%CL)は再潅流後も有意な変動を示さなかった。【結語】myocardial stunningには局所心筋の後負荷増大が関与しており、壁運動の回復は必ずしも心筋収縮性とは平行しない。即ち、stunning中の壁運動は後負荷により修飾される。
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