1993 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血,再潅流による冠血管機能不全(スタニング)におけるCa過負荷の役割
Project/Area Number |
05670613
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 正二 大阪大学, 医学部, 助手 (20124779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北風 政史 大阪大学, 医学部, 医員
是恒 之宏 大阪大学, 医学部, 助手 (50243217)
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Keywords | 虚血・再潅流障害 / 冠血管 / スタニング / Ca過負荷 / 冠予備能 / 冠血流自己調節能 |
Research Abstract |
(平成5年度) 1)心筋虚血の冠血管弛緩機能に与える影響についての検討 麻酔開胸犬にて、頚動脈-冠動脈自己血潅流モデルにより、左前下行枝を選択的に潅流し冠血流量・冠潅流圧を測定した。同時に超音波クリスタルデイメンジョンゲージにより潅流領域の心筋短縮率を測定し局所心筋収縮性の指標とした。さらに潅流領域の小冠静脈により静脈血を採取し乳酸・血液ガス等を測定、心筋代謝の指標とした。バイパスチューブをクランプにより短時間(5,10,15分間)の虚血・再潅流モデルを作成、その前後でアデノシン・パパベリン及びアセチルコリンに対する冠血流増加反応を観察した。かかる検討により、冠血管のうち内皮細胞・平滑筋細胞のいずれの機能障害が生じるかを明らかにした。すなわち、アセチルコリン及びアデノシンに対する冠血流増加反応が消失したことから、虚血・再潅流モデルにおいては、血管内皮細胞・平滑筋細胞のいずれにも機能障害が生じていることが明らかになった。さらに、一過性心筋虚血前・後にて冠潅流圧を100mmHgより10mmHgずつ段階的に低下させ、冠血流自己調節能における冠血管機能不全の影響を検討した結果、虚血・再潅流モデルでは冠血流自己調節能が低下していることが明らかになった。同時マイクロスフェアを注入し心筋内膜/外膜側の血流を測定したところ、この虚血・再潅流モデルでは心内膜側の血流が低下しており、局所冠微小血管障害が生じていることが明らかになった。 2)Ca過負荷が冠血管機能に与える影響の検討 Ca過負荷が冠血管機能不全の原因であるか否かを検討した。まず第一に、麻酔開胸犬にて高濃度のCa溶液を冠血管に一過性に投与することによりCa過負荷状態を作成、その後アセチルコリン、アデノシン、パパベリン等の冠血管拡張剤を投与することにより血管の反応性を検討した。さらに虚血後再潅流時に心筋を低Ca溶液で潅流することによりCa過負荷を軽減させ冠血管機能異常が軽減されるか否かを検討した。かかる検討により、虚血再潅流時に生じるCa過負荷により血管内皮・平滑筋障害が引き起こされることが明らかとなった。
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[Publications] Masatsugu Hori,Masafumi Kitakaze,Seiji Takashima et al: "Beneficial Role of Adenosine in Myocardial Ischemic and Reperfusion Injury" Drug Development Research. 28. 432-437 (1993)
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[Publications] Masafumi Kitakaze,Masatsugu Hori,Takenobu Kamada: "Role of Adenosine and its Interaction with α-adrenoceptor activity in ischemic and reperfusion injury of the myocardium" Circulation. 87. 208-215 (1993)
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[Publications] Hiroshi Sato,Masatsugu Hori,Masafumi Kitakaze et al: "Reperfusion After Brief Ischeniia Disrupcs the Microtuble Network in Canive Hearts" Circulation Research. 72. 361-375 (1993)
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[Publications] M.Hori,M.Kitakaze,S.Takashima et al: "In Recent Advances in Coronary Circulation:Beneficial Role of Alpha-Adrenocepor Activity in Myocardial Ischemic and Reperfusion Injury" Springer-Verlag,Tokyo, 322 (1993)
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[Publications] M.Kitakaze,M.Hori,T.Morioka et al: "In Recent Advances in Coronary Circulation:Cardioprotective Actions of Adenosine in the Heart:New Strategy for the Treatment of Ischemic Heart Diseases" Springer-Verlag,Tokyo, 322 (1993)