1994 Fiscal Year Annual Research Report
Dahlラットの循環中枢α_2受容体刺激に伴う腎α受容体の変化と高血圧の発症阻止
Project/Area Number |
05670625
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Research Institution | University of The Ryukyus |
Principal Investigator |
柊山 幸志郎 琉球大学, 医学部, 教授 (50037363)
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Keywords | 食塩感受性高血圧 / Dahl-Iwai Sラット / 循環中枢 / アルファ受容体 / クロニジン |
Research Abstract |
1.研究目的 食塩感受性高血圧の発症初期には,中枢の交感神経活動の亢進があり,一方体液量の増加によって高血圧は維持される.交感神経中枢と腎におけるNa再吸収との関連を調べるため,遺伝的に高食塩下で高血圧が発症するDahl Sラットを使い高食塩負荷による高血圧発症には,延髄のα2レセプター数の減少と腎尿細管側底膜のα1およびα2レセプター数の増加があることを我々は先に報告した。延髄血管運動中枢のα2レセプター刺激によって降圧をもたらする作用を持つclonidineが,腎潅流圧の低下にもかかわらず,腎交感神経活動を著しく減少させるため,有意な腎血流量の低下を起こさないことも報告した. 本研究は,交感神経中枢と腎との結びつきを検証するため,Dahl-Iwai Sラット(DIS)の高血圧がclonidineによって阻止されるか,また,腎尿細管側底膜のα1およびα2レセプター数が変化するか否かを検索した. 2.研究の進展状況 4週齢のDISを8%食塩食で飼育し,G1,G2,G3,の3群に分け,G1は蒸留水,G2は0.4mg/Lのclonidine溶液,G3は4週から6週までのみ0.4mg/Lのclonidine溶液,以降8週まで蒸留水を飲水させた.8週齢の腎尿細管側底膜を取り出しα1およびα2レセプターのbinding studyを行った. 3.新たに得られた知見 C2の血圧は最終週までG1よりも低値を示した.G3の血圧は6週までG1よりも低値を示したがclonidine服用中止後,G1との差は消失した.腎尿細管側底膜のα1,α2レセプターともに,各群のKdに差はなかった.Bmaxは,コントロール群(G1)とclonidine群(G2)で差はなかっが,clonidine服用を途中で中止した群(G3)が他群よりも低値を示した.以上の結果は,(1)高血圧発症前からの治療によって,高血圧遺伝素因の表徴を抑えることは難しいこと,(2)DISの腎尿細管側底膜のα1およびα2レセプターは,交感神経活動の変化に依存して調節されるものではないことを示唆していると考えられた.
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[Publications] Takishita S,Muratani H,Kawazoe N,Kimura Y,Tozawa M,Fukiyama K.: "Neural effects on renal blood flow during acute hypotension vary with antihypertensive drugs." Hypertension. 23[suppl I]. I-97-I-101 (1994)
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[Publications] Tozawa M,Imai C,Sunagawa O,Takishita S,Muratani H,Fukiyama K.: "Effects of high salt on brain stem and renal alpha2-adrenoreceptors in Dahl-Iwai salt-sensitive and-resistant rats.Proc 15th scientific meeting of the International Society of Hypertension,Melbourne,Australia,March 20-24,1994." Journal of Hypertension. 12[suppl 3]. S230- (1994)