1993 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧における抵抗血管平滑筋小胞体の役割に関する研究
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05670630
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
島 広樹 和歌山県立医科大学, 循環器内科, 助手 (40206157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 明廣 , 助手 (50194155)
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Keywords | 血管平滑筋 / カルシウム / 筋小胞体 / 抵抗血管 / 高血圧 |
Research Abstract |
抵抗血管平滑筋小胞体(SR)は、細胞質へのCa供給だけでなく、細胞質内Ca濃度の上昇に伴いCaの吸収を行う細胞内Caの緩衝器官として重要な役割を果たしていることを我々は報告した(Circ Res 70 :968-977,1992)。しかし、高血圧発症におけるSRの細胞内Ca緩衝作用の意義については明らかではない。平成5年度は、SRのCa channel openerであるRyanodine(Ry)およびSR Ca ATPase阻害薬であるThapsi-gargin(Tg)を用いてSRのCa貯蔵能を減少させることにより、高血圧自然発症ラット(SHR)の抵抗血管収縮におけるSRのCa緩衝作用が、高血圧の発症・維持にいかなる役割を果たしているかを検討した。 抵抗血管収縮は、5週齢(幼若期)および10週齢(成熟期)のSHR、同週齡のWistar Kyoto rat(WKY)の上腸間膜動脈第1-2分枝の輪状灌流標本の等尺性張力で測定した。10mMカフェイン(Caf)および40mMカリウム(K)の収縮反応をみ、10muM Ryまたは1muM Tg投与によるCaf、K収縮に及ぼす影響を観察した。 (1)血圧は幼若期で両群間に差はなかったが、成熟期ではSHRで著明に上昇していた。(2)Caf収縮反応は幼若期でSHRはWKYに比し減弱していたが、成熟期では差はなかった。(3)K収縮は、幼若期では両群とも同程度であり、成熟期ではSHRはWKYに比し大であった。(4)RyまたはTgによりCaf感受性Ca貯蔵能を減少させた後(Caf反応は著明に減弱)のK収縮強度とK収縮速度は、幼若期・成熟期ともにSHRでは有意な増加がみられたが、WKYでは明らかな増加がなかった。 高血圧発症前および維持期では、SHRのSRの細胞内Ca緩衝作用がWKYに比し大きく、成熟期SHRでK収縮反応の増加がみられたことより、SHRの血圧上昇機序には細胞外からのCa流入の増加が重要である。SHRのSRは遺伝的に細胞内Ca濃度の増加を抑制し、高血圧発症に抑制的に働いているものと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 島 広樹: "Ouabainのラット抵抗血管収縮に及ぼす影響" Therapeutic Research. 14. 194-200 (1993)
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[Publications] 島 広樹: "ウアバイン高血圧ラットにおける抵抗血管収縮機序" Therapeutic Research. 15. 169-174 (1994)
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[Publications] 島 広樹: "ラット動脈における血管反応性のheterogeneity" 血 管. 17, (印刷中). (1994)