1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670640
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
渡部 良夫 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (70084572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 敏夫 自治医科大学, 講師 (10198278)
内田 宏子 藤田保健衛生大学, 医学部, 客員講師
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Keywords | 房室結節 / Purkinje繊維 / 膜活動電位 / tetrodotoxin / 比較心電図学 |
Research Abstract |
【目的ならびに方法】大動物の房室伝導時間が小動物のそれより相対的に短い点などから、房室結節は自動能で心室調律を支配し、興奮伝導には関与しないのではないかとのMeijlerらの仮説を検証する為、体重210-540Kgのウマ心臓から房室結節及びPurkinje繊維束を摘出、Tyrode液で表面灌流しつつガラス微小電極を用いて細胞膜電位を記録した。【成績】房室結節細胞の最大拡張期電位、活動電位振幅、最大脱分極速度の4例平均値は夫々-82.9+12.44mV,82.1+8.35mV,73.8+13.32V/secで、ウサギに比し明らかに大であった。Tetrodotoxin10muMを加えると、最大脱分極速度は41.5+6.8%低下し、房室結節における急速なNa電流の関与が示唆された。刺激周期を2,000から300msまで変化させても、これらの計測値は殆ど変化せず、1Hzの刺激頻度における50%,90%再分極点での活動電位持続時間は61.7+15.52ms及び156.9+19.82msであった。Purkinje繊維の最大拡張期電位、活動電位振幅、最大脱分極速度は、5例の平均で-114.4+10.55mV,120.0+5.74mV,453.6+75.84V/secであり、刺激周期を2,000msから漸次短縮した場合、最大拡張期電位と活動電位振幅は500msまでは明らかな変化を示さないが、400及び300msでは軽度に減少した。50%,90%再分極点での活動電位持続時間は著明な周期依存性を示し、2,000msにおける456.4+36.97ms,555.4+34.39msが400msでは夫々217.4+22.03ms,317.7+7.45msに短縮した。【結論】ウマの房室結節がウサギの房室結節よりも高い伝導速度を有することが、前者の房室伝導時間の相対的短縮の一因と考えられ、房室結節機能の解明における比較電気生理学的研究の重要性が示された。なお、マウスの房室結節及びPurkinje繊維束の活動電位特性の検討は進行中であり、近く成績を発表できることが期待されている。
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