Research Abstract |
平成3年度旭川医科大学附属病院で分離されたMRSA76株について,プラスミドDNAプロファイル検索と薬剤感受性試験を行った.プラスミドプロファイルはAからGの7プロファイルが得られ,制限酵素Eco RIで切断後の電気泳動でそれぞれの違いが確認された.プロファイルと株数は,A:41,B:9,C:2,DからGは1株ずつで,プラスミドを持たない菌が20株であった.薬剤感受性試験は,メチシリンのほかゲンタマイシン(GM),トブラマイシン(TOB),アミカシン(AMK),ストレプトマイシン(SM),アルベカシン(ABK),クロラムフェニコール(CP),バンコマイシン(VCM),ミノサイクリン(MINO),クリンダマイシン(CLDM)の9薬剤について行った.VCM,CPには耐性株はなく,ABK耐性は1株だけであった.一方,TOBで92%,CLMで83%の株が耐性で,AMKでは95%の株が最小発育阻止濃度8-32μg/mlの範囲に分布した.また,GMでは感受性18株,中等度耐性17株,耐性41株であり,SM耐性15株,MINO耐性33株であった.コアグラーゼ型は,II:63,III:1,IV10,VI:1,型別不能:1であり,IV型株はプロアファイルA以外の株に多く認められた.プロファイル型と病棟との関連をみると,プロファイルAの株は外科系の病棟から多く分離され,プロファイルBとプラスミドを持たない株は内科系外科系両方の病棟から分離された.プロファイルAの株やプラスミドを持たない株は,MINOの感受性パターン,あるいは,GMとSMの感受性パターン,との組合せでより詳しい分析が可能と考えられ,さらに対象株数をふやして検索をすすめる必要がある.また,時間的な経過でどのように動くのかをみていく必要があり,メチシリン感受性株との違いや旭川医科大学附属病院以外の病院の分離株についても同様な成績が得られるのかどうか検討が必要である.
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