1993 Fiscal Year Annual Research Report
発達期の脳におけるイノシトールリン脂質情報伝達系の分布と機能
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05670659
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
水口 雅 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (20209753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 光則 新潟大学, 脳研究所, 助手 (30240039)
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Keywords | イノシトールリン脂質 / イノシトール三リン酸 / 二次メッセンジャー / 細胞内情報伝達 / CD38 / サイクリックADPリボース / 中枢神経系 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1.ラット脳の発達にともなうイノシトール三リン酸(IP3)キナーゼの分布の変動 生後0日から21日までのラットの小脳におけるIP3キナーゼ免疫反応性の分布を免疫電顕により調べた。その結果、発達途上の小脳プルキンエ細胞の樹状突起近位部上にある平行線維との直接のシナプス結合のような、発生過程に一過性に生じる構造物に濃厚な分布を示すことが判明した。これにより、神経回路形成過程におけるIP3キナーゼの重要性が示唆された。 2.実験的発達障害小脳におけるIP3キナーゼの分布 生後2-5日のラットにエチルニトロソウレアを投与して小脳外顆粒層を破壊し、その後病的な発達を示す小脳におけるIP3キナーゼ免疫反応性の分布を免疫電顕により調べた。その結果、小脳白質に、正常では存在しないプルキンエ細胞の樹状突起が伸び、シナプス結合のない〓突起が形成され、同時に同部位に本来見られないはずのIP3キナーゼの存在が観察された。これにより、IP3キナーゼはシグナル伝達に加え、〓突起の維持など多様な機能を果たしていることが推測された。 3.CD38抗原に対する特異的抗体の作製 CD38はリンパ球の表面抗原であるが、最近ADPリボースサイクラーゼと共通構造を有することが報告され、サイクリックADPリボースを二次メッセンジャーとする情報伝達系との深い関連が示唆されている。本抗原の部分ペプチドを人工的に合成し、これを抗原として家兎抗血清を作製した。現在抗体の特異性を検定中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 水口 雅: "組織培養を用いた神経系の発生と老化に関する研究-ホスホリパーゼCアイソザイムの中枢神経系培養細胞における分布-" 笹川医学医療記念財団・海外派遣研究者報告. 21-25 (1993)
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[Publications] 山田光則: "Specific expression of inositol 1,4,5‐trisphosphate 3‐kinase in dendritic spines." Brain Research. 606. 335-340 (1993)
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[Publications] 山田光則: "Developmental profile of inositol 1,4,5‐trisphosphate 3‐kinase in rat cerebella cortex: light and electron microscopic immunohistochemical studies." Developmental Brain Research. 71. 137-145 (1993)
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[Publications] 水口 雅: "Infantile bilateral striatal necrosis: chronic and acute manifestations in a single case." Brain and Development. 16(印刷中). (1994)
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[Publications] 水口 雅: "Expression of Bcl‐2 protein in murine neural cells in culture." Brain Research. (印刷中). (1994)
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[Publications] 水口 雅: "先天性代謝異常症" 日本臨床. 51. 2919-2923 (1993)