1994 Fiscal Year Annual Research Report
先天性心疾患モデルラット胎仔培養による心奇形発生機序の解明
Project/Area Number |
05670671
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
中川 雅生 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40188909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗林 敏郎 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (80186519)
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Keywords | 全胎仔培養 / 心奇形 / HNK-1 / N-CAM / WKY / NCrjラット / 神経堤細胞 / 第6動脈弓 |
Research Abstract |
1.WKY/NCrjラットおよび正常コントロールラットの全胎仔培養 (1)胎生11.5日のラットで培養を行ったところ、12時間後(胎生12日相当)にWKY/NCrj、コントロールのいずれのラットにも第6動脈弓を確認することができた。この時点では、両者の第6動脈弓に形態的な差を認めず、さらに培養48時間後の胎仔(胎生13.5日相当)にも形態的な差を認めなかった。 (2)全胎仔培養を48時間以上続けると、子宮内発育した相当日齢の胎仔より発育が悪く、48時間が全胎仔培養の限界であった。 2.第6動脈弓内における神経堤細胞、あるいはそれの誘導に関与するマーカー(HNK-1、N-CAM、ファイブロネクチン、サイトタクチン、テネイシン)の分布(免疫組織化学的検討) WHY/NCrjラットと正常ラットの第6動脈弓の太さに明らかな差がみられる以前(胎生11.5-13.5日)の胎仔では、第6動脈弓にこれらのマーカーは陽性で、分布のパターンについて差はみられなかった。特に、N-CAMは前腸周囲の神経叢から第6動脈弓を経て動脈幹に至る一連の分布を示した。これより、動脈幹の発生に神経堤細胞を含めた神経組織が誘導されることが推測されたが、第6動脈弓はその重要な遊走路となっていることが示唆された。 以上より、本研究で、WKY/NCrjラットでも第6動脈弓の発生は正常ラットと同様であることが明らかにされた。しかし、胎生14.5日には正常ラットに比してWKY/NCrjラットでは明らかに第6動脈弓が低形成てせあることから、WKY/NCrjラットの動脈幹の不均等な分割により二次的な循環動態の変化が生じ、第6動脈弓が低形成となる可能性を示したとして評価できる。今後、動脈幹の分割に関与する神経堤細胞の分布や遊走経路について検討し、マイクロインジェクションを用いて心奇形の発生や阻止の実験を試みる予定である。
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[Publications] Hiroto Okagawa: "Immunolocalization of N-CAM in the heart of the early developing rat embryo." Anatomical Record. (掲載予定).
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[Publications] 岡川浩人: "家族性原発性肺高血圧の1学童例" 心臓. 26. 639-644 (1994)
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[Publications] 成宮正朗: "ポンプ失調による心不全で発病した急性心筋炎の2乳児例" 心臓. 26. 981-986 (1994)
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[Publications] 笹原彰子: 心臓. 27(掲載予定). (1995)
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[Publications] 中川雅生: "心臓の発生におけるType-1 CollagenaseおよびIL-1αの発現とRemodeling" 心筋の構造と代謝-1993. 16. 369-376 (1994)
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[Publications] 奥野昌彦: "ウイルス性心筋炎モデルハウスにおけるサイトカインの発現について" 心筋の構造と代謝-1994. 17(掲載予定). (1995)
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[Publications] Masao Nakagawa: "Developmental mechanisms of heart disease" Clark EB,Markwald RR,Takao A(eds),Futura,New York, (1995)
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[Publications] Thomas K.Borg: "Developmental Mechanisms of heart disease" Clark EB,Markwald RR,Takao A(eds),Futura,New York, (1995)
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[Publications] 中川雅生: "Annual Review 循環器 1995" 杉本恒明、松本昭彦、杉下靖郎、門間和夫編、 中外医学社、東京, 298 (1995)