1993 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス様の顆粒球形態を呈する遺伝性易感染症の病因分子の検索
Project/Area Number |
05670682
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 三千男 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30091276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 章一 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (40253695)
熊取 厚志 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (60244092)
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Keywords | アポトーシス / 易感染症 / 先天異常 / 顆粒球 |
Research Abstract |
研究実施計画に基づいて以下の点を検索した。 1.患者および患者母よりEBウイルスを用いてリンパ芽球株を樹立し,その細胞の活性酸素産生機能とその構成成分を検索したが,とくに異常を認めなかった。また,無処理の状態でその形態異常は認められなかった。 2.上記リンパ芽球を用いて好中球に認められたアポトーシス様形態変化の再現を,(1)-低張液,(2)-高張液,(3)-デキストラン液,(4)-サイトカラシン処理,(5)-Fas抗体処理,(6)-TNF,(7)-2価イオンキレート剤(EGTA,EDTA),(8)-NaF,デオキシグルコース等の代謝阻害剤処理等々,種々の条件で精査したが成功しなかった。 3.患者末梢血そのままで活性酸素産性能や,接着能を測定したが,前者は全く異常を認めず,後者は軽度低下を認め,病因の一つであることが示唆された。走化能の検索はまだ成功していない。 4.患者顆粒球における核の微細形態および超微細形態の観察から,核は完全な細片化をとげておらず,細い連結糸で明らかにつながっていた。これは従来のアポトーシスの典型的な形態とは異なっている。 5.分離操作によって核の変形を示した患者顆粒球でも,アガロース電気泳動上DNAの明らかなフラグメンテーションは認められなかった。 6.以上のことは,この患者の白血球が,従来のアポトーシスとは若干異なっており,その病因解明には別のアプローチが必要であることを示唆している。 7.技術的には,患者末梢血より形態異常を示さないままの顆粒球を分離する方法を開発し,これを用いて実験をスタートする工夫が必要であると思われた。今後はまずこのアプローチを行う。
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