1995 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスを用いた変異甲状腺ホルモンリセプター遺伝子発現の研究
Project/Area Number |
05670683
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Research Institution | KAGOSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
武井 修治 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (60175437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 章三 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (80224145)
今中 啓之 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (80223329)
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Keywords | 甲状腺受容体 / トランスジェニックマウス / 遺伝子組換え |
Research Abstract |
甲状腺機能低下症の原因の一つは、甲状腺受容体(c-erbAβ)の異常である。本疾患の病態把握のため、我々はその病態のモデルマウスの作製および解析を試みている。このため、我々は甲状腺受容体遺伝子に異常を持つ患児より変異遺伝子を単離、マウスへ導入し、トランスジェニックマウス(Tgマウス)作製を試み、昨年度までに5匹のTgマウスを得た。 今回我々は、この5匹のマウスの系統樹立、変異遺伝子の発現、および成長、発育について検討を行った。まず、それぞれのマウスをC57BL/6マウスと交配し、導入遺伝子の生殖細胞系への伝達の有無について、サザン法、polymerase chain reaction法(PCR法)を用いて検討したところ、4匹のマウスについて、導入遺伝子の伝達が認められ、系統樹立は完成した。次に、樹立された4系統について、変異遺伝子の発現を検討した。発現をreverse transcription-PCR法にて検討したところ、肝臓、筋肉、甲状腺組織で認められた。そこで、これら4系統についてマウス個体の発育を観察したところ、2系統については正常マウスとほぼ同程度であり、1系統については約5%、残り1系統については約10%の体重増加不良が認められた。また、1系統については、体毛発育の不良も認められた。ヒトにおける甲状腺受容体異常による甲状腺機能低下症では、多彩な症状が認められるが、これらの系統差は本疾患における症状の多様性を示していると考えられ、病態を反映していると思われた。 以上より、これらTgマウスは本疾患の病態モデルマウスとして使用し得ると結論した。
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