1993 Fiscal Year Annual Research Report
サイトメガロウイルス感染における抗レセプター抗体の役割
Project/Area Number |
05670700
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
阿部 敏明 帝京大学, 医学部, 教授 (40101117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 希代子 帝京大学, 医学部, 助手 (50150660)
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Keywords | サイトメガロウイルス / 硫酸化糖鎖 / 抗体 |
Research Abstract |
胎児期のヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染は肝障害、小頭症や知能発達障害を残す先天性CMV感染症を引き起こすが、その感染様式には不明な点が多く残されている。HCMVの宿主細胞への感染を硫酸化多糖がin vitroで阻止する事実は以前より知られていたがその機構は明かではなかった。最近、HCMVが宿主細胞表面のヘパラン硫酸に結合することがウイルスの感染成立の第一段階として必要であり、HSV等の場合と同様にCMVの低親和性レセプターとして細胞表層のヘパラン硫酸が報告された。平成5年度の本研究で我々は、先天性CMV感染症の新生児の患者血清中の各種抗体を検索し、ウイルス自身に対する抗体に加えて、硫酸化糖脂質に対する抗体が検出されることを見いだした(投稿準備中)。硫酸化糖鎖に対する抗体が産生される機構としては(1)ウイルス粒子あるいはウイルス感染細胞の表層糖鎖に同様な糖鎖が存在する、(2)抗イデイオタイプ抗体あるいは抗レセプター抗体などの可能性などが考えられる。この点に関して以下のアフィニティーカラムを用いた実験を行った。その結果スルファチドカラム及びへパリンカラムにより抗硫酸化糖鎖に対する抗体を除いても、抗CMV-IgG抗体は変化しなかったことより、ウイルス粒子に対する抗体と硫酸化糖鎖に対する抗体は異なると考えられた。これらよりCMV感染症の患者血清中の硫酸化糖鎖に対する抗体は抗レセプター抗体としてウイルス粒子の細胞への吸着阻害作用をもつことが予想された。この点に関して、アフィニティー精製した硫酸化複合糖質に対する抗体のウイルス粒子が細胞へ吸着する差異の阻害作用など、この抗体の抗レセプター活性を現在検討している。
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