1994 Fiscal Year Annual Research Report
アシドーシスが未熟な血管の機能にあたえる影響に関する基礎的研究
Project/Area Number |
05670702
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Research Institution | Tokyo Women's Medical College |
Principal Investigator |
中西 敏雄 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (90120013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門間 和夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80075233)
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Keywords | アシドーシス / 抵抗血管 / 血管平滑筋 / 細胞内pH / カルシウム / 新生仔 |
Research Abstract |
本研究では大動脈と腸間膜細動脈の未熟な血管を用い、1)アシドーシスが血管収縮に与える影響、2)細胞内pH調節、3)アシドーシス下での細胞内Ca濃度調節について研究した.平成5年度は大動脈など大きな血管で、6年度は直径100-200uの微小な抵抗血管を用いて研究をおこなった.実験動物:胎生28日の胎仔家兎(妊娠満期は31日),生後3日の新生仔,生後6ヵ月の成獣家兎を用いた。実験標本:大動脈、肺動脈、腸間膜動脈(直径100-200uの小血管)を摘出し、1-2mmの長さに切断しリング状の標本を作製した.血管に直径20uのタングステン線を通し左右からひっぱって張力をかけた. 研究成果:コントロールの液は5%CO2で飽和しpH7.4とし、アシドーシスは20%CO2で飽和しpH6.8とした. 1)50mM KClを含む液で灌流し血管の中等度収縮を起こさせた後、アシドーシスにすると、成獣大動脈では収縮は一過性に経度低下した後コントロールに戻ったが、未熟大動脈では大きく弛緩したままであった.成獣肺動脈は一過性に弛緩した後、むしろ収縮した.未熟肺動脈では大きく弛緩した. 2)アシドーシス時の細胞内pHは未熟血管、成獣血管ともに同程度に低下した. 3)アシドーシス時の細胞内Caは両年齢群でともに同程度上昇した. 結論:アシドーシスが血管収縮に与える弛緩作用は未熟血管でより大きいがその機序は細胞内pHやCa濃度の変化では説明できず、筋肉固有の性質に起因するのかもしれない.
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