1993 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎の免疫異常におけるロイコトリエンB_4の役割の研究
Project/Area Number |
05670728
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井階 幸一 京都大学, 医学部, 助教授 (00135568)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 隆夫 京都大学, 医学部, 助手 (40179718)
|
Keywords | アトピー性皮膚炎 / 免疫異常 / エイコサノイド / ロイコトリエンB_4 / LTA_4水解酵素 / リンパ球 / 多型核白血球 |
Research Abstract |
ロイコトリエン(LT)B_4は、乾癬、アトピー性皮膚炎などの発症に重要な役割を果たしていると考えられているメディエーターであり、LTA_4水解酵素はアラキドン酸から5-リポキシゲナーゼにより生じたLTA_4を水解してLTB_4を作る重要な酵素である。私達は、ヒト皮膚および末梢血白血球におけるLTA_4水解酵素の性質と局在を検討した。ウサギを免疫して得た抗ヒトLTA_4水解酵素抗体を用いてWestern blottingを行なうと、ヒト表皮、末梢リンパ球、末梢多型核白血球に分子量68,000のバンドが認められたが、ヒト真皮では認められなかった。また、本抗体を用いて、ヒト皮膚における局在を免疫組織学的に検索したところ、表皮細胞および、真皮の浸潤細胞、血管内皮細胞に局在が認められた。さらに、LTA_4を基質としてHPLCを用い、LTA_4水解酵素の活性を測定したところ、ヒト表皮、ヒト末梢リンパ球、多型核白血球では、高い酵素活性を認めたが、ヒト真皮では有意の酵素活性を認めることができなかった。また、ヒト表皮のLTA_4水解酵素活性は抗LTA_4水解酵素抗体で吸収され、ベスタチン、カプトプリルなどの薬剤により阻害されたが、EPAやDHAなどの不飽和脂肪酸には影響されなかった。さらに、乾癬やアトピー性皮膚炎の患者の末梢リンパ球、多型核白血球のLTA_4水解酵素の活性も測定し、正常人と比較したがアトピー性皮膚炎の患者で高値を示した。
|
-
[Publications] Ikai K: "Role of eicosanoids in the pathogenesis of atopic dermatitis." Pros Leuko Ess Fatty Acid. 48. 409-416 (1993)
-
[Publications] Ikai K: "Immunohistochemical localization of lipocortins in human normal and psoriatic skin." Arch Dermatol Res. 285. 296-299 (1993)
-
[Publications] Ikai K: "Eosinophil cationic protein in atopic dermatitis:Changes of serum levels by the anti-allergic agent ketotifen." J Eur Acad Dermatol Venereol. 3. 59-62 (1994)
-
[Publications] Ikai K: "Leukotriene A4 hydrolase in human skin." J Invest Dermatol. 102. 253-257 (1994)
-
[Publications] 井階幸一: "肥満細胞とエイコサノイド「肥満細胞の新しい側面とアレルギー性疾患治療」黒沢元博、信太崇夫、江田昭英(編)" Excerpta Medica, 59-70 (1993)
-
[Publications] Ikai K: "Anti-inflammatory effect of eicosapentaenoic acid on the skin.in“Advances in Polyunsaturated Fatty Acid Research"(eds.T.Yasugi,H.Nakamura and M.Soma)" Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam, 99-100 (1993)