1993 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線照射皮膚でのリノール酸代謝-13ヒドロキシリノール酸とロイコトキシンを中心として-
Project/Area Number |
05670754
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
日高 敏博 久留米大学, 医学部, 助教授 (10113234)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪口 隆洋 久留米大学, 医学部, 講師 (00191891)
|
Keywords | 13ヒドロキシリノール酸 |
Research Abstract |
最近、地球環境の破壊による紫外線(UV)の増加が皮膚の炎症障害や老化、癌などの原因をなすとして社会問題となっている。ロイコトキシンは熱傷時に出現する悪玉で、13ヒドロキシリノール酸(13HODE)はラジカルスカベンジャー作用や抗炎症作用をもつ善玉であり、両者ともリノール酸代謝産物である。13HODEには微小循環や細胞増殖に関係する生理活性もある。今回は主にUV照射時の13HODEの動態に検討を加えた。 結果:(1)マウスの皮膚にUVを照射し表皮中の13HODEを経時的測定すると、照射後徐々に増加し、2時間で最高値に達し、24時間で未照射の値に戻ることが確認された。(2)非放射性リノール酸を用いた実験で、表皮ホモジネートによる13HODE合成はpH依存性で至適pHを8.0とし、基質濃度と蛋白濃度にも依存し、インドメタシン、アスピリン、NDGA、ETYAによる阻害様式がリポキシゲナーゼよりシクロオキシゲナーゼ(COX)に類似していた。P450の阻害剤と賦活剤により影響を受けなかった。これらのデータは皮膚の13HODE合成にプロスタグランジン合成酵素であるシクロオキシゲナーゼが関与していることを強く示唆している。(3)新たな疑問点として、UV照射後の13HODE量の経時的な変化は、基質の供給増加に依るものなのか、13HODE合成酵素増加に依るものなのか不明であり、ホスホリパーゼの活性変動が問題となることが判明した。また、13HODE合成酵素がCOXであるとして、抗体による免疫沈降法による同定を試みているが今の処確実な結果が得られていない。 ロイコトキシンの病態とともに更なる検討が必要性である。
|
-
[Publications] Kyo Adachi: "A deletion of mitochondrial DNA in murine doxorubicin-induced cadiotoxicity" Biochim.Biophys.Res.Commun.195. 945-951 (1993)
-
[Publications] Toshihiro Hidaka: "Advances in polyunsaturated fatty acid research;Properties of HODE generation in mouse epidermis.pp41-42" T.Yasugi,H.Nakamura,M.Soma, 294 (1993)