1993 Fiscal Year Annual Research Report
pH感受性^<99m>Tc-腫瘍イメージング剤を用いた早期腫瘍選択的画像診断の試み
Project/Area Number |
05670774
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
ホリウチ カズコ (スズキ カズコ) 京都大学, 薬学部, 助手 (50144382)
|
Keywords | Tc-(V)-DMS / ^<99m>Tc-腫瘍イメージング剤 / 癌早期診断剤 / pH感受性剤 |
Research Abstract |
腫瘍の早期発見は完全治癒率の向上や予後の検査に最も重要な因子であり、この観点にたつ核医学イメージング剤の開発がもっとも大きな課題である。早期発見にあたっては、用いられるイメージング剤が高い腫瘍感受性と選択性を兼ね備えたものである必要性がある。著者らは腫瘍の低pH部位に集積するようデザインされたpH感受性薬剤である^<99m>Tc-(V)-dimercaptosuccinate(Tc-(V)-DMS)を用いて、腫瘍酸性部位の画像化、およびある種の薬物や温熱負荷によるpH低下の誘導促進と集積性改善の可能性について検討した。 本研究では、腫瘍移植(Ehrlich Ascites Tumor)実験動物(ddY mice)モデルを用いて腫瘍組織pHの測定と薬物負荷あるいは温熱負荷によるpH低下の集積を試みた結果、グルコース投与時間、投与濃度または温熱負荷時間、温度を制御することにより腫瘍組織pHは0.15-0.36減少した。これに対し筋肉pH低下は0.06-0.09unitsに留まった。得られた最適条件下Tc-(V)-DMS投与実験を行なうことにより腫瘍組織pH低下の誘導とそれによるTc-(V)-DMS集積増加を明らかにした。並行して、Tc-(V)-DMSのpH感受性に関連した集積機序の化学的意味づけを電気泳動法、薄層クロマトグラフィー法を用いて、基礎的に検討したところ酸性化によるTc-(V)-DMS錯体電離あるいは解離現象に基く分子電荷減少傾向を示すとともに癌細胞(in-vitro実験)への著しい移行性および集積性が明確に示された。以上より、Tc-(V)-DMSのデザイン段階において考慮された低pH感受性による腫瘍集積機序を利用したグルコースや温熱負荷によるpH低下の誘導促進で起こるTc-(V)-DMS腫瘍集積増加は、^<99m>Tc-腫瘍イメージング剤を用いた早期診断に結び付るものと考えられる。
|
Research Products
(1 results)