1994 Fiscal Year Annual Research Report
血栓閉鎖型大動脈解離の臨床経過に関する研究-画像診断による検討-
Project/Area Number |
05670787
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Research Institution | NIPPON MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
田島 廣之 日本医科大学, 医学部, 講師 (00188244)
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Keywords | 大動脈解離 / 画像診断 / 血管造影 / ulcer like projection / DSA / CT / 回転血管撮影 / MRI |
Research Abstract |
以下の4点が平成6年度に明らかとなった。 1.血栓閉鎖型大動脈解理36例に対し、画像診断による検討を行ったところ、31例(86%)という高頻度にulcer like projectionの存在が確認された。これにより、血栓閉鎖型大動脈解離の大部分が「内膜破綻型」解離である可能性が示唆された。 2.従来の報告ではulcer like projectionはそのほとんどが胸部大動脈のみに存在したが、詳細に検討することにより、腹部大動脈・骨盤部動脈に於いてもulcer like projectionが多数観察された。 3.Ulcer like projectionのうち、14例14病変(14%)は偽腔開存型大動脈解離におけるentryに相当する位置に存在し、また12例28病変(29%)は気管支動脈・腰動脈など、分岐起始部に存在することが観察された。これらの診断に際しては、回転デジタル血管撮影法が極めて有用であった。本法により、立体的な画像情報を得ることができたためである。従って、ulcer like projectionの成因として、entryあるいは動脈分岐起始部が関与している可能性が示唆された。 4.血栓閉鎖型大動脈解離の経過中、15例22病変に瘤形成、6例12病変に再解離が観察された。従って、ulcer like projectionは瘤形成・再解離の原因となりうることが明らかになった。又、これらの経過観察には、X線CT及びMRIが有用であった。
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