1995 Fiscal Year Annual Research Report
免疫調節物質を血管内手術に局所的に作用させる脳腫瘍に対する新しい免疫療法の開発
Project/Area Number |
05670788
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
池田 実徳 帝京大学, 医学部, 助手 (40221064)
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Keywords | TAE / Lipiodol / Glyceol / Poloxamer-188 / D-Mannitol |
Research Abstract |
1993〜1994年度、我々は油性造影剤(ヨード化ケシ油、リピオドール)・水溶性造影剤(ヘキサブリックス、イオパミロン)・表面活性剤(ポロクサマー)・抗腫瘍剤水溶液の混合により、今までにない安定な血管塞栓性エマルジョンを作成法を考案した。 1995年度には、家兎を用いた動物実験・透析を用いたin vitro組織拡散シミュレーションにてこれらのエマルジョンが血管塞栓性薬物輸送系として働き、腫瘍組織に持続的高濃度の薬物濃度をもたらし得ることを検証した。 すなわち、これらのエマルジョンの静注または動注にて、家兎肺・大脳・肝・脾・腎などに塞栓を形成し得ることが示された。さらにin vitroでの組織拡散シミュレーションで、抗腫瘍物質水溶液やピリオドールとの懸濁液に比べて、これらのエマルジョンからは徐放的抗腫瘍物質の拡散が認められた。これら組織を用いた抗腫瘍物質の組織濃度の測定も実行中である。 このエマルジョンは水相・油相それぞれに抗癌剤・免疫調整物質を溶解・運搬し、超選択的に動脈内注入された場合、腫瘍局所に高濃度かつ徐放的に塞栓部周囲の腫瘍組織にその効果をもたらすことが期待される。従来用いられている抗癌剤・免疫調整物質の動注法もこの輸送系を用いた場合、より有効なものとなる可能性が示唆される。水溶性造影剤とマニトールにより得られたエマルジョンは、マニトールの血液脳関門の透過性亢進作用から、特に脳腫瘍に対しての効果が期待される。
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