1993 Fiscal Year Annual Research Report
てんかんの神経機構-キンドリングによる実験的研究-
Project/Area Number |
05670802
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
和田 有司 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (30175153)
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Keywords | てんかん / セロトニン / 海馬 / 抗うつ薬 |
Research Abstract |
てんかんの神経機構を明らかにする目的で、側頭葉てんかんの実験モデルである海馬キンドリングモデルを用いて、以下の神経薬理学的研究を行った。特に今回はてんかん発作の発現機構における脳内セロトニン系の役割を検討するため、選択的セロトニン再取り込み阻害作用をもつ新しい抗うつ薬(フルオキセチン、パロキセチン)およびセロトニン1A受容体作動薬(8-OH-DPAT)を用いた実験を行った。 その結果、セロトニン再取り込み阻害薬の全身投与後に、海馬キンドリング発作の全身けいれん発作持続時間が有意に短縮した。さらにフルオキセチンの海馬焦点への局所微量注入を行った結果、発作誘発閾値が用量依存的に上昇し、10n mol投与後には有意な上昇が認められた。次に8-OH-DPATの局所微量注入を行った結果、海馬部分発作の誘発閾値が有意に上昇し、後発射持続時間が有意に短縮した。また海馬キンドリング発作の誘発閾値も有意な上昇を示した。 今回の研究から、新しい抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬が抗てんかん作用を有することが示された。てんかん患者では高率に抑うつ症状が出現する一方、従来の抗うつ薬はけいれん惹起作用を有することが知られている。今回の成績は、てんかん患者の抑うつ症状の治療における、選択的セロトニン再取り込み阻害薬の臨床的有用性を示唆するものである。また8-OH-DPATのもつ強力な抑制効果が示され、海馬発作の発現に対してセロトニン1A受容体が抑制的に関与することが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Wada,Y.,Nakamura,M.,Hasegawa,H.,Yamaguchi,N.: "Effect of serotonin uptake inhibiting antideprescants on hippocampal kindled seizures in cats" Neuroscience Research Communications. 12. 119-124 (1993)
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[Publications] Wada,Y.,Nakamura,M.,Hasegawa,H.,et al.: "Microinjection of the serotonin uptake inhibitor flucxetine elevates hippocampal seizure threshold in rats" Neuroscience Research Communications. 13. 143-148 (1993)
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[Publications] Wada,Y.,Nakamura,M.,Hasegawa,H.,Yamaguchi,N.: "Intra-hippocumpal injection of 8-hydroxy-2-(di-n-propylamino)tetralin(8-OH-DPAT)inhibits partial and generalized seizures induced by ・・・・" Neuroscience Letters. 159. 179-182 (1993)