1994 Fiscal Year Annual Research Report
てんかんの神経機構-キンドリングによる実験的研究-
Project/Area Number |
05670802
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
和田 有司 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (30175153)
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Keywords | てんかん / キンドリング / セロトニン / 受容体 / 抗うつ薬 |
Research Abstract |
フルオキセチンは選択的セロトニン(5‐HT)再取り込み阻害薬であり、近年うつ病の治療に用いられてきている。昨年度は、ラット海馬焦点へのフルオキセチン微量注入実験を行い、側頭葉てんかんの実験モデルである海馬発作に対する抑制効果を検討した。一方、フルオキセチンの急性効果に関してはいくつかの研究がなされているが、長期投与に伴う抗けいれん効果の検討はなされていない。そこで今年度は、電気刺激により誘発されたラット海馬発作に対するフルオキセチンの慢性投与時の効果を検討し、急性効果と比較した。 フルオキセチン(1,10mg/kg)を腹腔内に急性単回投与した結果、海馬発作活動に対する有意な効果はみられなかった。これに対して、フルオキセチン10mg/kgの21日間反復投与終了の1週間後に行ったフルオキセチン単回投与により、海馬発作の後発射閾値が有意に上昇した。同様に、5‐HT1A作動薬gepirone(10mg/kg)の21日間反復投与後に行ったフルオキセチン単回投与により、後発射閾値の有意な上昇を認めた。 今回の研究から、海馬発作活動に脳内セロトニン系が密接に関与しているとする我々のこれまでの見解が支持された。さらに海馬発作に対するフルオキセチンの抑制効果が、フルオキセチンおよびgepirone反復投与後に強化されることが示唆された。その神経機序としては、従来の神経生理学的研究で示されているような5‐HT自己受容体の脱感作を介した5‐HT伝達増強作用が関与している可能性が推測された。
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Research Products
(1 results)