1993 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー型老年期痴呆における流血中神経受容体抑制因子の同定と病因的意義
Project/Area Number |
05670809
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森本 茂人 大阪大学, 医学部, 講師 (20150336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 卓夫 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
名畑 孝 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
福尾 恵介 大阪大学, 医学部, 助手 (40156758)
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Keywords | アルツハイマー型老年期痴呆 / ムスカリン性アセチルコリン / 血清 / 脂質 / リゾフォスファチジルコリン |
Research Abstract |
アルツハイマー型老年期痴呆における流血中ムスカリン性アセチルコリン受容体抑制因子の生化学的性質につき検討を進めた。検出系として、当研究室で行っているラット脳シナプス膜へのムスカリン性アセチルコリン受容体agonist,[^3H]quinuclidinyl benzilate ([^3H]QNB)結合への阻害を指標とした。老年期痴呆患者血清的20lを集め、クロロホルム、メタノール抽出により、クロロホルム層を採取し蒸気乾固。順相極性(CNカラム)HPLCでヘキサン中にイソプにパノール0〜10%のlinear gradient,流速0.5ml/分にて溶出、各2.5分間分画を採取した。さらに分子節(HSG15Sカラム)HPLCを用い、テトラヒドロフランを溶媒として流速1ml/分で流し、207nmによる吸光度を測定記録した。[^3H]QNB結合阻害活性は、順相HPLCにヘキサン100%付近の極性の低い部分(A1)およびヘキサン48%:イソプロパノール52%の中等度極性の部分(A2)に認めた。さらに分子節HPLCによりA1は分子量約500、A2は分子量約800の物質であると推定された。一方、血清中に存在するリン脂質の一種であるリゾフォスファチジルコリンは、in vitroにおいて濃度依存的にラット脳シナプス膜分画ムスカリン性アセチルコリン受容体に対する[^3H]QNB結合を抑制し、Lineweaver-Burk plotにより拮抗阻害を示していた。さらにこのリゾフォスファチジルコリンは上記順相HPLCにてヘキサン100%の極性の低い部分に溶出されること、分子量が約500であることより、A1分画はリゾフォスファチジルコリンであると推定された。A2部分の本体については現在さらに検討中である。以上、アルツハイマー型老年期痴呆例血清中で高値を示す[^3H]QNB結合阻害活性の生化学的検討を加え、その性状の一端を明らかにした。
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[Publications] 福尾恵介,森本茂人,他: "長寿症候群" 日本臨床. 別冊. 658-661 (1993)
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[Publications] 北野昇一,森本茂人,他: "Alzheimer病-Alzheimer型老年期痴呆とカルシウム代謝" Clinical Calcium. 3. 334-337 (1993)
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[Publications] 森本茂人,他: "老年期痴呆とカルシウム代謝異常" 全薬JOURNAL. 150. 18-23 (1993)
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[Publications] 森本茂人,他: "老年者へのアプローチ法" 現代医療. 25. 2151-2154 (1993)
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[Publications] 荻原俊男,森本茂人,他: "老年病-特集:内科最近の動き-" 内科. 71. 83-90 (1993)