1994 Fiscal Year Annual Research Report
ライソゾーム系輸送経路とアミロイド前駆体蛋白の処理過程に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
05670817
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Research Institution | SAPPORO MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高畑 直彦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20000987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 充 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80199299)
深津 亮 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10113614)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / アミロイド前駆体蛋白 / ライソゾーム系輸送経路 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)脳には、アミロイドβ蛋白(Aβ)の沈着によって生ずる特有の病変がみられる。またアミロイドβ蛋白の沈着が進行すると次第にPHFが形成されやがて神経細胞死がもたらされる。これらの事実からADの主要な病変はアミロイド沈着過程によって一元的に説明することが出来ると考えられる。したがって、アミロイド前駆体蛋白(APP)が、細胞のどこで、どの様な機構により処理をうけAβが生成され沈着するのかを明らかにすることは重要な課題である。APPからAβが形成される機構には幾つかの可能性が指摘されているが、このうち、ライソゾーム(Lys)経路は主要な役割を演じていることを示す所見が蓄積されてきている。 そこでLys経路がAPPを処理してAβを生ずるか否かを明かにするために以下の通り免疫病理学的、分子生物学的検討を加えた。 1)Lys経路においてAPPからβ蛋白が形成されるか否かについて、次の様に検討した。APPの各ドメインに対するモノクローナル抗体(mcAb)を確立することが出来た。T細胞系、B細胞系、単核球系細胞を培養して細胞分画を行ない、各分画におけるAPP断片の性質をこれらの抗体を用いてウエスタンブロット法によって詳しく調べた。細胞各分画において種々にAPP断片が観察されたが、Lysを含む画分ではこれまでに報告されていない50kDa,20kDaのamyloidogenicな特有なAPP断片が認められた。そのため、さらにLys画分を精製して調べたところ、この50kDa、20kDaの断片はLys酵素活性のピークと一致して存在していることが明らかになった。 2)さらにLys酵素阻害剤であるロイペプチンを培養液に添加すると、これらの特有の断片は同じ細胞画分において明瞭になった。我々の実験からLys経路は、APPの分解・処理に関与していると考えられる。 3)細胞の種類が変わると50kDa,20kDaの断片の出現の様態は異なっている。細胞によってAPPの処理過程に相違があると考えられる。 4)APP遺伝子の導入等で過剰に発現させて、Lys経路におけるAPPの処理過程がどのようになるのかについては現在も続けられている。
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[Publications] Tsuzuki K et al: "Immunohistochemical evidence for amyloid β in rat soleus muscle in chloroquine-induced myopathy" Neuroscience Letters. 182. 151-154 (1994)
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[Publications] Tsuzuki K et al: "Potentially amyloidogenic fragment of 50 kDa and intracellvlar processing of amyloid precursor protein in cell under leupeptin" Brain Research. 659. 213-220 (1994)
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[Publications] 高丸 勇司 他: "老人斑アミロイドのアポリポプロテインE" 老年精神医学雑誌. (印刷中). (1995)
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[Publications] Takamaru Y et al: "Two autopsied cases of membranous lipodystrophy (Nasu-Hakola disease) with Alzheimer's senile pathology" Brain pathology. 4. 546- (1994)
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[Publications] Tsuzuki K at al: "Experimental chloroquine induced myopathy in rat - study of processing -" Brain pathology. 4. 555- (1994)
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[Publications] 高丸 勇司 他: "アルツハイマー病変化を伴うNasu-Hakola病の2剖検例 -アミロイド構成蛋白の生化学的、免疫病理学的検討-" Neuropathology. 14. 53 (1994)
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[Publications] Tsuzuki K et al: "Alzheimer's and Parkinson's Disease: Recent Advances" Plenum Press, 7 (1994)
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[Publications] Takamaru Y et al: "Alzheimer's and Parkinson's Disease: Recent Advances" Plenum Press, 7 (1994)