1993 Fiscal Year Annual Research Report
画像を用いた正常老人脳の追跡開始後10年目の最終年度調査研究
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05670826
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
笠原 洋勇 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (60056950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 浩志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20217798)
西村 浩 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00246430)
篠崎 徹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10206104)
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Keywords | CT / MRI / 画像所見 / 正常ボランティア / 追跡研究 / 痴呆 / 早期発見 / 死亡 |
Research Abstract |
地域で健康な生活を送っている133名の老人の協力を得て第1次(1982年)、2次(1986年)、3次(1989年)、4次(1992年)の脳画像を用いた追跡を行った。10年後の成績について死亡群と生存群、痴呆群と非痴呆群、アルツハイマー型痴呆と血管性痴呆に分類し、初回調査時の所見について比較した。死亡群と有意な相関を示した所見を列挙すると次の通りであった。 年齢0.32^<**>、ベントン視覚記銘テスト正確数-0.27^<**>、BVRT誤数0.29^<**>、CT所見小梗塞0.45^<**>、PVL0.26^<**>、シリビウス裂の拡大0.17^*、cella media index 0.18^*、maximal width of third ventricule 0.23^<**>、BVRTcard6-0.26^<**>、card9-0.22^<**>、BVRTの省略0.22^<**>、歪み0.19^*、大きさ0.22^*であった。死亡群は生存群に比し健康であっても多くの所見を有することが示された。 次に痴呆群と非痴呆群の比較では痴呆群は年齢0.22^*、シリビウス裂の拡大0.17^*、MWTV0.20^*、BVRTの省略0.23^<**>、置き違い0.17^*、大きさ0.26^<**>であった(**p<0.01*<0.5)。痴呆群はCT所見およびBVRT所見上に若干のサインを示していた。なお年齢については死亡群、痴呆群とも相関しており、これまでのリスクファクターとして取り上げられていることを確認することができた。SDAT群9名とVD10名の比較ではCT所見で小梗塞(+)はVD群に有意に多く、側脳室の拡大は同様にVD群に有意に多かった。 一方脳波が正常であるものは、SDAT7名、VD2名であり、異常はそれぞれ1名と6名であった。脳波所見は脳血管性痴呆を示唆する可能性が明らかとなった。 これまで痴呆のリスクファクターとして明らかにされているものは年齢、性、人種、社会階層、教育、家族などが指摘されているが、上記のごとく臨床的指標としての項目が明らかになったのは初めてであり、痴呆の早期発見や予防のための足がかりが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 笠原 洋勇他: "CTおよびMRIを用いた正常老人脳の追跡による加齢変化と痴呆の早期発見" 病態生理. 13. 160-162 (1994)
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[Publications] 笠原 洋勇 他: "健常高齢者の脳MRI所見と高次脳機能の関係について" 日本老年医学会雑誌. 30. 892-900 (1993)
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[Publications] 笠原 洋勇 他: "脳血管性痴呆の診断基準とischemic scoreおよびvascular sco〓" 日本臨床. 51. 443-451 (1993)
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[Publications] 笠原 洋勇 他: "器質性精神障害" 精神科診断学. 4. 459-471 (1993)
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[Publications] 笠原 洋勇 他: "MRIを用いた正常老人脳の追跡による加齢変化と痴呆の早期発見に関する研究" INNERVISION. 8. 31-32 (1993)
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[Publications] 笠原 洋勇 他: "老年期うつ病の治療を考える-薬物療法のガイドライン" 老年精神医学雑誌. 4. 856-864 (1993)
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[Publications] 笠原 洋勇: "最新医学略語辞典(第2版)" 中央法規出版, 440 (1993)
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[Publications] 笠原 洋勇: "PSYCHO TOPICS" 日本精神病院協会, 100 (1993)