1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670827
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Research Institution | TOHO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中村 道子 東邦大学, 医学部, 講師 (50180401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
鈴木 二郎 東邦大学, 医学部, 教授 (10090408)
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Keywords | 精神分裂病 / ドパミンD4レセプター / 相関 / 多型 / PCR / 家族内負因 |
Research Abstract |
ドーパミンD4レセプター遺伝子には48塩基対を1単位とした繰返し配列があり、2-8回繰返しの7種類の対立遺伝子が存在する。この多型はクロザピンの結合に関して異なった薬理学的特性を示すことがVan Tolらにより報告され、向精神薬に対する反応の個体差に関係する可能性があり、精神分裂病発症過程にも何らかの関わりを持っている可能性がある。われわれは精神分裂病の遺伝的素因を明らかにする目的で、精神分裂病とDRD4遺伝子多型との相関を調べることを企図した。〔対象及び方法〕対象とした患者群は2群あり、家族内発症例のある精神分裂病55名(同胞発症例の片方;41名、親に発病者がいる例;11名、子に発病者がいる例;3名)をB+群、家族内発症例のない患者群47名をB-群とした。そして健常対照群は52名である。DRD4遺伝子多型の検索は末梢血からDNAを抽出し、平成5年度に確立したPCR法により、多型性を検出した。ただし、平成5年度にはPCRにVent(exo^-)polymeraseを用いたが、この酵素は1otにより活性がかなり異なることがわかったため、本年度は7-deaza-deoxyguano-sineを用いて、PCRを行なった。〔結果〕B+群において繰返し数の多い(4回以上の繰返し)配列の頻度が有意に高かった。またB+群において2回繰返しの頻度が健常対照群より有意に低かった。従って家族内発症例のある精神分裂病とDRD4遺伝子多型との相関が見られた。次にB-群において4回繰返し配列の頻度が健常対照群より有意に高くみられた。従って家族内発症例のない重症精神分裂病ともDRD4遺伝子多型との相関がみられた。B+群とB-群を比較すると、5、6回繰返し配列がB+群において有意に高く出現していた。5回繰返し配列のみでもB+群において有意に高く出現していた。以上のようにB+群、B-群いずれの群においてもDRD4遺伝子多型と精神分裂病との相関があった。またB+群とB-群とを比較しても遺伝子分布には有意差がみられた。連鎖研究が行なえる適切な家系がまだ見つかっておらず、平成6年度研究実施計画の最終的目標には到達していない。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Inoue A,Ihara H,Kon T,Nakamura M,et al: "Polymorphism in the human dopamine.D4 receptor gene(DRD4)in Japanese detected by PCR" Human Molecular Genetics.2(12). 2197- (1993)