1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670836
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
村上 正巳 群馬大学, 医学部・第一内科, 助手 (30241871)
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Keywords | TSHレセプター / バセドウ病 / 分子生物学 / 甲状腺 / 分泌型レセプター |
Research Abstract |
我々は,TSHレセプターのN端側に近い部分のペプチドに対する抗体を作成しこれを用いて解析した結果,ヒト末梢血中にTSHレセププターの細胞外部分に相当すると考えられる分子量約6万の物質が存在し,この物質が未治療バセドウ病患者で高値を示すことから,その病因に関わっていることが示唆された。本研究においては,血中のTSHレセプター様物質の性質を明らかにするとともに分泌型TSHレセプターの存在の存在について検討することを目的とする。 本年の研究において,血中のTSHレセプター様物質を認識する抗体すなわちTSHレセプターN端側に対する抗体はヒトTSHレセプター発現CHO細胞を有意に刺激したが,この事実は血中のTSHレセプター様物質のバセドウ病発症における重要な役割を示唆するものと考えられる。また,我々は,Gravesらの報告したTSHレセプターのvariantと同一のものをすでにクローニングしたが,そのC端側のアミノ酸配列は,full lengthのTSHレセプターには存在しない。我々は,このC端側の20個のアミノ酸に対する特異的な極めて高力価の家兎抗体を作成することに成功し,そのradioimmunoassay系を確立した。このradioimmunoassayや抗体を用いたWesternblot法により,このvariantの甲状腺組織や血中における存在について検討を行っている。一方,新たなTSHレセプターのvariantをクローニングする目的でバセドウ病患者甲状腺組織からcDNAライブラリーを作成し,ヒトTSHレセプターcDNAプローブを用いてスクリーニングを行った。その結果,fulllengthのTSHレセプター以外の陽性クローンを数個得ることに成功し,現在その塩基配列の決定を行っている。また,我々は高発現ベクターであるpCXN2により,CHO細胞にヒトTSHレセプターを発現させたが,この細胞を用いてバセドウ病患者IgGによる刺激活性を測定し,その診断ならびに経過観察に有用であることを報告した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 村上正巳 他: "Precipitations of thyrotropin receptor-related peptides by immunoglobulin G of patients with Hashimoto's thyroidiHs." Life Sciences. 55. 1209-1217 (1994)
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[Publications] 村上正巳 他: "clinical usefulness of thyroid stimulating antibody measurement using Chinese hamster ovary cells expiessing human TSH receptors." European Journal of Endocrinology. (in press). (1995)
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[Publications] 森昌朋 他: "バセドウ病の病態解明への道" Medical Practice. 11. 1438-1439 (1994)