1993 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンによるグルコース取り込み促進作用に関する研究
Project/Area Number |
05670837
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柴田 宏 群馬大学, 内分泌研究所, 講師 (20235584)
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Research Abstract |
エレクトロポレーションにより細胞膜を透過性にしたラット脂肪細胞においてGTPγSおよびNaFを細胞内に投与すると、GLUT4の細胞膜上へのトランスロケーションが起こりグルコースの取り込みが促進することから、GLUT4のトランスロケーションにNaF感受性G蛋白の関与が想定される。最近の研究により、GLUT4は常に細胞内プールと細胞膜の間をリサイクルしていることが明らかになった。このことは細胞膜上のGLUT4の増加(トランスロケーション)はGLUT4のエキソサイトーシスの促進とエンドサイトーシスの抑制との総和で生じることを意味する。そこで平成5年度は、GTPγSおよびNaFの作用点に関して以下の検討を行った。脂肪細胞表面のGLUT4をトリプシンで処理することにより、本来のサイズである46kDaより小さい35kDaのGLUT4のフラグメントが出現する。この36kDaのフラグメントはGLUT4と同様にエンドサイトーシスされ、これをGLUT4のC末端に対する抗体で追跡することができる。この方法を用いてGTPγSおよびNaFの効果を検討したところ、GTPγSおよびNaFによってGLUT4のエンドサイトーシスが強く抑制されることが明らかになった。逆にGTPによりGLUT4のエンドサイトーシスは著明に促進された。このことから、(1)GLUT4のエンドサイトーシスの過程にNaF感受性GTP結合蛋白が関与していること、また(2)GLUT4のエンドサイトーシスにはGTPの水解が必要なことが示唆された。
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