1993 Fiscal Year Annual Research Report
LDL受容体構造類似蛋白のcDNAクローニングとその動脈硬化における役割の解明
Project/Area Number |
05670841
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齋藤 康 千葉大学, 医学部, 講師 (50101358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村野 俊一 千葉大学, 医学部, 助手 (50231634)
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Keywords | 動脈硬化 / 脂質代謝 / LDL受容体 / クローニング |
Research Abstract |
動脈硬化症の発症および進展過程において、血清脂質代謝異常は最も重要な危険因子の一つである。血清脂質は主にリポ蛋白として存在し、それらの細胞への取り込みは、それぞれのリポ蛋白の受容体を介して行われている。最近、分子生物学的手法を用いて、新たなリポ蛋白受容体遺伝子が同定され、これらの受容体が構造の類似した一つの遺伝子ファミリーを形成していることが明かとなった。そこで、新しいリポ蛋白受容体遺伝子を同定解析する目的で、LDL受容体一次構造に類似性を有する蛋白のcDNAクローニングに着手した。ウサギLDL受容体のリガンド結合領域をプローブとして、ウサギ肝臓cDNAライブラリーについて、クロスハイブリダイゼーション法によりスクリーニングを行った。その結果、推定されるアミノ酸配列内にLDL受容体のリガンド結合領域およびEGF前駆体相同領域に非常に類似した配列を有する部分cDNA(〜5Kb)を得た。その詳細な解析により、リガンド結合に重要と考えられるアミノ酸配列がすべて保存されており、約40アミノ酸からなる繰り返し構造も存在していることが明かとなった。また、LDL受容体EGF前駆体相同領域にみられる特徴的アミノ酸配列も保存されていた。種々の組織(肝臓、脳、副腎、脾臓、腎臓)におけるこの蛋白のmRNAの発現をRNAブロットハイブリダイゼーション法およびRT-PCR法により検討したところ、これらの全ての組織でmRNAを検出することができ、特に肝臓および脳に多く発現していると考えられた。これらの結果から、従来同定されているリポ蛋白代謝に関与する受容体に加えて、さらに新しい構造を有するリポ蛋白受容体の存在が推定された。この新たな蛋白の機能をさらに解析することにより、リポ蛋白代謝の詳細がさらに明かになる可能性が考えられ、また、新たに高脂血症の病態を解明できる可能性が期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takahashi,K.,Saito,Y.et al: "A missense mutation in the cholesteryl ester transfer protein gene with possible dominant effects on plasma high density lipoproteins" J.Clin.Invest.92. 2060-2064 (1993)
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[Publications] Tashiro,J.,Saito,Y.et al: "The 'midband'lipoprotein is a coronary risk factor in Japanese patients with familial hypercholesterolaemia" Scand.J.Clin.Lab.Invest.53. 335-338 (1993)