1993 Fiscal Year Annual Research Report
過食・肥満を伴う新しい糖尿病動物(NPYトランスジェニックマウス)の作製
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05670863
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
乾 明夫 神戸大学, 医学部, 助手 (80168418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹之下 洋司 ケアリー株式会社, 薬理試験部, 部長
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Keywords | Nouropeptide Y / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
従来からの神経ペプチドに関する研究は、大部分が脳内もしくは、脳室内に急性もしくは亜急性にペプチド、もしくはアナログやアンタゴニストを投与し、ペプチドの生理学的意義を追求せんとするものであった。しかし、多くの疾患においてはその経過は慢性であり、遺伝因子、環境因子の複雑な相互作用のもと、病態が形成されてゆくと考えられる。近年の遺伝因子組み換え技術の進歩は、トランスジェニックマウスという、一生涯を時間軸としてペプチド作用をみることができるモデル動物を誕生させ、新しい研究のアプローチを可能にした。 我々はこのトランスジェニックマウスを作製し、遺伝、環境両因子の関与を解析するにあたって、特に以下の2点に注意を払った。 (1)NPYを中枢神経系のみに過剰発現させること。これは脳腸ペプチドともよばれるように、ペプチドはしばしば脳と末梢腸管の相方に存在し、相反した作用を示すことが多いからであり、NPYも末梢投与ではbuliminとしての作用を示さない。したがって、Gordon教授(Mt.Sinai大学医学部.米国)より、主として中枢神経系のみに過剰発現させる目的でThy-1(リンパ球表面の糖鎖抗原)プロモーターを頂だいし、トランスジェニックマウスを作製した。 (2)マウスのNPY cDNAを過剰発現させること。神経ペプチドはその構造や作用における種差がつねに存在し、NPYといえどもその可能性は否定しえない。少なくとも脳の高次機能をみてゆく上で、ヒトのペプチドをマウスに過剰発現させるメリットは何ら存在しない。マウスNPY cDNA及びgenomic DNAをクローニングし、その構造を決定した。 NPYトランスジェニックマウスは3系列誕生し、サザンブロット解析により、1〜10数コピー組み込まれていることが判明した。現在、ノザンブロット解析やNPY免疫染色とともに、摂食行動や学習、記憶、情動行動を解析中である。
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[Publications] Masaharu Nakajima: "Effects of Pancreatic Polypeptide Family Peptides on Feeding and Learning Behavior in Mice" J Pharmacol Exp Ther. (in press). (1994)
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[Publications] Akio Inui: "Plasma and cerebroventricular fluid levels of pancreatic polypeptide in the dog" Endocrinology. 132. 1235-1239 (1993)