1993 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウイルス遺伝子移入による白血病細胞増殖機構の解明
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05670912
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大塚 輝久 九州大学, 医学部, 講師 (20185317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 文統 九州大学, 医学部, 医員
大野 裕樹 九州大学, 医学部, 医員
岩崎 浩己 九州大学, 医学部, 医員
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Keywords | レトロウイルス / 白血病 / 自律性増殖 |
Research Abstract |
最初に各造血因子cDNAを組み込んだretrovirus vectorを以下のごとく構築した。各造血因子cDNA3'末端よりATrich regionを除き、これをneo^R geneが組み込まれたretrovirus vectorに挿入し、このplasmidを増殖させ、ecotropic packaging cell lineであるphicellにtransfectし、G418選別を行うことにより、マウス細胞に感染させうる造血因子産生retrovirusを得た。このphicellよりのvirus産生上清をamphotropic packaging cell lineであるPA317に感染させ、G418選別を行うことにより、ヒト細胞に感染させうる造血因子産生retrovirusを得た。virus titerはphicell、PA317よりの培養上清をNIH3T3細胞に感染させG418添加によりneomycin抵抗性のcolony-forming unit(CFU)を測ることにより算定した。造血因子活性はELISA法により測定した。このプロトコールに従い、G-CSF、GM-CSF、IL-3、IL-6のcDNAを組み込んだretrovirus vectorを構築した。phi2&PA317 cell lineに感染させて、10^6cfu/ml以上の高力価のvirus titerと高力価の各造血因子活性を有するretrovirusを作成した。 まず、マウスIL-6依存性細胞株であるB9・8にG-CSFおよびIL-6産生retrovirusを感染させた。この造血因子依存性細胞株はretrovirus遺伝子移入により各細胞株が造血因子非依存性となり、自律的増殖を獲得した。retrovirus挿入はDNAを抽出し、neo^R遺伝子の挿入をPCRにて確認した。高力価・高virus titerを有する造血因子産生retrovirus vectorを構築しえた。まず、造血因子依存性細胞株にretrovirus遺伝子導入法にて遺伝子導入することにより、造血因子非依存性増殖、即ち自発性増殖を示す細胞が得られた。遺伝子導入の有無は細胞よりDNAを抽出し、neo^R遺伝子の存在にて確認した。また、骨髄腫細胞はIL-6にて増殖することが知られているが、骨髄腫細胞にIL-6産生retrovirusを導入することにより、骨髄腫細胞の細胞株、即ち自律性増殖する骨髄腫細胞が得られた。これは当初から予定してなかったが、今後骨髄腫細胞の増殖・造腫瘍性を調べる上に非常に良い系ができたと思われ、更に検討を進めている。
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