1994 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウィルス遺伝子移入による白血病細胞増殖機構の解明
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05670912
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大塚 輝久 九州大学, 医学部, 講師 (20185317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 文統 九州大学, 医学部, 医員
大野 裕樹 九州大学, 医学部, 医員
岩崎 浩己 九州大学, 医学部, 医員
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Keywords | レトロウィルス / 白血病 / 自律性増殖 |
Research Abstract |
昨年度に各造血因子cDNAを組み込んだretrovirus vectorを構築し、10^6cfu/ml以上の高力価のvirus titerと高力価の各造血因子活性を有するretrovirusを作成した。このうちG-CSFおよびIL-6産生φ2よりのretrovirusをNFS-60およびB9・8細胞株に感染させた。また、骨髄腫細胞はIL-6刺激にて増殖することが報告されているので、IL-6産生Aml2よりのretrovirusをCD38陽性骨髄腫細胞分画に感染させ、骨髄腫細胞の自律性増殖能の有無を調べた。その結果、B9・8細胞株にIL-6産生retrovirusを感染させるとB9・8細胞は自律性増殖を示した。この自律性増殖は抗IL-6抗体添加にて抑制された。これに対し、neomycin resistant(neo^R)geneのみ挿入したコントロールretrovirusを感染させるとB9・8細胞はIL-6依存性であり、IL-6非添加ではアポトーシスにより死滅した。NFS-60細胞にG-CSF非依存性となり、自律性増殖を示した。しかし、培養5日目になると細胞増多に伴いこのG-CSF産生retrovirusを感染させるとNFS-60細胞はG-CSF産生retrovirusを感染させたNFS-60細胞はアポトーシスにより死滅した。遺伝子導入はIL-6,G-CSF,neo^R遺伝子挿入を各々遺伝子をretrovirus感染細胞よりRT-PCR法にて確認した。CD38陽性骨髄腫細胞分画にIL-6産生retrovirusを感染させたが、骨髄腫細胞の自律性増殖は得られなかった。各造血因子依存性細胞株においては各造血因子産生retrovirusを感染させることにより、造血因子非依存性となり自律性増殖を示した。これはautonomaus増殖機構のモデルとなるものである。この自律性増殖は造血因子に対する抗体により増殖が抑制されることにより、造血因子に対する抗体による治療の可能性が示唆された。また、G-CSF依存性細胞株においてG-CSF産生retrovirusを感染させると自律性増殖を示すが、細胞数が多くなるとかえってアポトーシスにより死滅する現象が認められた。このことはG-CSFは白血病細胞の増殖を刺激するが、多量のG-CSFではかえってアポトーシスを誘導し、白血病細胞増殖抑制に働く可能性が示され、G-CSFの白血病細胞に対する臨床応用を考える上で興味深い。現在、臨床サンプルを使用しての解析を進めている。
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