1993 Fiscal Year Annual Research Report
12番染色体長腕部異常を呈する造血器腫瘍の発癌機構の解析と臨床診断への応用
Project/Area Number |
05670917
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
麻生 範雄 熊本大学, 医学部, 講師 (50175171)
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Keywords | 造血器腫瘍 / 免疫グロブリン / C-MYC遺伝子 / 12q24染色体異常 / 発癌機構 |
Research Abstract |
造血器腫瘍では病型に特有の染色体異常が見い出され、発癌機構との密接な関係が想定されている。B細胞性腫瘍では免疫グロブリン(Ig)遺伝子領域に染色体異常が多く、転座の相手は癌遺伝子や転写活性因子と想定され、その単離、解析は発癌機構の初期段階を説明するのみならず、細胞分化に関わる重要な機能の発見につながる可能性が高い。私達は8番、12番、14番染色体転座を有するB細胞性白血病細胞株から、12番染色体長腕部(12q24)の染色体切断点をクローニングした。すなわち、8q24部のC-MYCIに14q32部のIg重鎖(IgH)結合部(JH)遺伝子が転座し、さらに12q24部が転座していた。そこでまず、12q24部の転座機構を調べるために同部の対立遺伝子をゲノミックライブラリーを作製し単離した。塩基配列から、12q24部にIgJH部の遺伝子組み替えの認識配列と同様の領域を見い出した。したがって12q24部の転座は正常のIgHの遺伝子再構成と同じ機構でおこっていることが証明された。次に、12q24部から遺伝子を単離するために、単離した12q24部からmRNAをコードする断片をノーザン法で調べ約4kbのmRNAを同定しうる断片を見い出した。B細胞性白血病細胞株由来cDNAライブラリーから同断片を用いてcDNAクローンを単離した。現在このcDNAクローンの塩基配列を決定中であるが、一部の塩基配列とデーターベースのホモロジーサーチを行ったところ、類似の遺伝子はなく、新しい遺伝子であることが判明した。塩基配列、アミノ酸構造を決定し、その機能解析へと研究を進める予定である。また、12q24部の異常は報告例より多いことが予想され、単離した遺伝子を用いて造血器腫瘍を解析し、臨床研究を進めているところである。 以上の成果は現在、投稿準備中である。
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