1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト造血系細胞へのウイルスベクターによる遺伝子導入法の開発-造血現象のin vitro再構築の検討-
Project/Area Number |
05670933
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
相沢 信 東京医科大学, 医学部, 助手 (30202443)
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Keywords | 造血幹細胞 / ストローマ細胞 / 遺伝子導入 / ウイルスベクター / 骨髄長期培養 / アデノウイルス / 細胞間相互作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ヒト造血細胞およびその増殖,分化に深く関与する骨髄間質系細胞に細胞不死化遺伝子を導入することにより,造血現象を試験管内で再現し,その機序を解明することにある.この目的達成のための第一段階は造血細胞,間質細胞を標的細胞として有効な遺伝子導入法を開発すること,第二段階として不死化細胞を用いて造血現象を再現し,その機序を明かとすることであり,研究実施計画に基ずき下記の研究を実施した. 1)ウイルスベクターの開発 ヒト骨髄細胞に対して効果的な遺伝子導入を行うため,標的細胞との親和性,細胞に対する非障害性,実験室レベルにおける安全性等の観点より基礎実験を行い,アデノウイルスをベクターウイルスとして選択した.さらに細胞不死化遺伝子として今年度はSV40 T抗原を選択し,SV40-アデノウイルス組み換えウイルスを作製した.本ウイルスベクターを用いた導入実験より,従来の報告と比較して約5倍の導入効率,約100倍の細胞不死化効率と優れた結果が得られた.加えて胸腺上皮,肝細胞,角膜上皮細胞等に対しての遺伝子導入実験でも同様の高い有効性が認められ,本ウイルスベクターが今後遺伝子導入ベクターとして幅広く応用可能であることが確認された. 2)不死化骨髄細胞株による試験管内造血現象再現の可能性の検討 遺伝子導入により樹立された骨髄間質細胞株の2種類に8週を越えて長期に及ぶ造血現象の支持機能が認められた.またこの培養実験において造血細胞と間質細胞をミリポアフィルターで分離し細胞間接触を阻害したところ,間質細胞の造血支持機能の低下がみられたことよりなんらかの接着分子を介した細胞間相互作用の介在する機序の関与が推測され現在さらに検討中である.
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[Publications] Araki K et al.: "Immortolization of rabbit corneal epitherial cells by a recombinant SV40-adenovirus vector." Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.34. 2665-2671 (1993)
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[Publications] Aizawa S et al.: "Hemopoietic supportive function of human bone marrow stromal cell lines established by a recombinant SV40-adenovirus vector." Exp.Hematol.(in press). (1994)
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[Publications] Hojo H et al.: "Establishment of a human thymic stromal cell line(R-3-4)and its adhensive capacity with T-cells in vitro." Hematologic Pathology. (in press). (1994)