1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670935
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
藤盛 好啓 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (20229058)
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Keywords | 造血幹細胞 / apoptosis / Fas抗原 |
Research Abstract |
平成5年度には、造血幹細胞の分化におけるapoptosisの意義を検討する一環として、apoptosis関連抗原であるFas抗原の造血幹細胞および骨髄性白血病細胞での発現を検討した。Fas抗原は分子量3.5万の蛋白質であり、腫瘍壊死因子(TNF)レセプターと相同性を持ち、未知の因子のレセプターと考えられており、一部の抗Fas抗体は細胞にapoptosisを起こすことができる。正常ヒト末梢血では、Fas抗原は、顆粒球、単球など成熟細胞の発現されている。骨髄細胞でのFas抗原の発現を調べると、未熟な骨髄系の細胞であるCD34陽性細胞ではその発現は30%と低値であるが少し分化したCD33陽性細胞ではその発現が増す。造血幹細胞でのFas抗原の発現を検討するためにCD34,CD33,CD13等の分化抗原に対する抗体と抗Fas抗体で二重染色しcell sorterで、各分化抗原陽性でFas陽性と陰性部分を集めメチルセルロース法で造血幹細胞アッセイを行った。その結果CD34+Fas‐,CD33+Fas‐,CD13+Fas‐細胞部分にコロニー形成細胞が多く、造血幹細胞はFas抗原陰性で、分化とともにFas抗原が陽性となることが判明した。一方、未熟な幹細胞由来のCD34陽性骨髄性白血病ではFas抗原が高率に発現されており、また、抗Fas抗体を添加することにより、apoptosisが増強された。このように、Fas抗原は未熟な幹細胞に発現が低く、分化とともにその発現が増し、また、癌化してもその発現が増加すると考えられた。
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