1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670938
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
濱田 洋文 財団法人癌研究會, 癌化学療法センター・分子生物治療研究部, 部長 (00189614)
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Keywords | 遺伝子治療 / レトロウイルス・ベクター / アデノウイルス・ベクター / TIA1 / 養子免疫療法 / 殺細胞Tリンパ球 |
Research Abstract |
腫瘍に対する宿主の抗腫瘍活性を特異的に高めることを目的とした養子免疫遺伝子治療法を開発するためには、特異的な抗腫瘍活性を担う殺細胞Tリンパ球(CTL,cytotoxic T lymphocytes)の働きを増強することがポイントとなる。CTLが標的細胞を殺す機序として重要なものにアポトーシスによる細胞死の誘導がある。本研究では、CTLの抗腫瘍活性を強化することを目標として、CTLから分泌されて標的細胞のアポトーシス誘導に重要な働きをすると考えられるRNA結合タンパクTIA1の機能の解析を行う。本期間中は以下のような実験成果を得た。 1.ヒト単球細胞株THP1のmRNAからRT-PCR法を用いて、TIA1のcDNAをクローニングし、コード領域の塩基配列を確認した。 2.ヒトTIA1のcDNAのコード領域を大腸菌T7発現ベクターpETヘクローニングし、これを用いてTIA1タンパクを大量に調製した。このタンパクはmRNA(ポリA)に非常に強固に結合することが明らかとなった。 3.TIA1のcDNAのコード領域をMoloney murine leukemia virus(MoMLV)から作成・改良したレトロウイルスベクターMFGへ構築した。これをマウス線維芽細胞由来のプロデューサー細胞へトランスフェクトし、タイターの高い組み換えレトロウイルスを作成中である。 4.マウスの皮下に移植したB16メラノーマ腫瘍塊から分離したTIL細胞に、in vitroで遺伝子を導入するために基礎実験として以下のような実験を行った。 (1)リコンビナイト・ヒトIL-2存在下で、IVS(試験管内抗原刺激法、in vitro stimulation)を行うことにより、B16を特異的に殺すTIL細胞を大量に培養することに成功した。 (2)レトロウイルスによるマーカー遺伝子lacZの導入をさまざまな方法により試みたが、TILに対する遺伝子導入効率は1%以下ときわめて低率であった。 (3)斉藤泉らの作製したアデノウイルスベクター(Adex1CAlacZ)を用いて、3日目で90%の高効率でTIL細胞にマーカー遺伝子を発現させることができた。 (4)現在、マウスIL2、マウスIL7のアデノウイルス発現ベクターを用いて、TILへの遺伝子導入により抗腫瘍活性の強化が図れるかどうかを検討している。これに成功すれば、さらにTIA1のアデノウイルスベクターによる遺伝子導入も試みる予定である。
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[Publications] Dranoff,G. et al.: "Vaccination with irradiated tumor cells engineered to secrete murine GM-CSF stimulates potent,specific,and long-lasting antitumor immunity" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 90. 3539-3543 (1993)
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[Publications] Hanada,K. et al: "Strategies for immunogene thera〓y against cancer" Proc.Ninth Nagoya Int.Symp.,in Excerpta Medica International Congressseries. (in press). (1994)
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[Publications] Dranoff,G. et al: "Prospects for the immunothera〓yof cancer using genetically modified tumor cells" Clinical Pharmacol:Frontieas inBiomedical Res.9. 22-29 (1993)