1993 Fiscal Year Annual Research Report
血小板コラゲン受容体GPIVとGPVIの単クローン抗体の作成と受容機序の解明
Project/Area Number |
05670939
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
山本 正雅 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 循環器病研究部門, 研究員 (50150884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤松 紀子 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 循環器病研究部門, 研究員 (30124431)
新井 盛夫 東京医科大学, 臨床病理学教室, 講師 (00212605)
田上 憲次郎 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 循環器病研究部門, 研究員 (30014137)
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Keywords | GPIV / GPVI / コラゲン受容体 / GPIb / P-selectin / モノクローナル抗体 / 血小板無力症 / 血小板凝集 |
Research Abstract |
血小板のコラゲン受容体であると考えられているGPIVとGPVIに対するモノクローナル抗体の作成を目的に本研究を行った。洗浄血小板を抗原にし免疫し、コラゲン凝集を抑制するモノクローナル抗体をスクリーニングで選択して作成する方法では、抗原性の強いGPIIb/IIIa複合体抗体が主に作成されるため、比較的抗原量が低いGPIV(10,000-20,000個/血小板)に対する抗体は極めて作成が難しかった。そこで、我々は、GPIIb/IIIaが完全に欠損しているGlanzmannの血小板無力症のタイプIの血小板を抗原として免疫しモノクロナール抗体の作成を行った。培養上清を洗浄血小板に加え、コラゲン凝集の抑制を観察した。同時に、GPIV欠損(Nak^a陰性)あるいはGPVI欠損血小板への抗体の結合性の違いを正常血小板とELISAで比較し、抗体の産生の指標とした。血小板凝集抑制を指標とするスクリーニングで抑制が認められたクローンがGS64、GS70、GS312が作成された。GS64はコラゲン凝集の抑制が軽度、あるいは認められない程度であるが、GS70は20-30μg/mlで明らかなコラゲン凝集の抑制が認められた。この両抗体はGPIb関連抗原を認識しているが、GS312はP-selectin(GMP140)を認識していることが明らかとなった。またGPIV欠損血小板への結合性が低下していたモノクローナル抗体GS95は、ヨード標識したこの抗体が交叉免疫電気泳動でGPIVの沈降線に取り込まれることから、GPIVを認識したモノクローナル抗体であることが明らかとなった。本抗体はHigh ResponderのGPIV陽性の血小板を凝集させるが、GPIV陰性の血小板の凝集は惹起しなかった。コラゲン凝集への影響は認められなかった。本研究ではGPVIを認識するモノクローナル抗体は得られなかった。これらの結果から、血小板にはGPIVやGPVI以外に、GPIb関連抗原やP-selectinなどの糖蛋白がコラゲン凝集の機序に間接的に関係していることが明らかになり、血小板のコラゲン凝集の機序の複雑さが示された。
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[Publications] Arai M.,Yamamoto N.et.al.: "Substantial expression of glyco proteins IX and V on the platolet surface from a patient with Bernard-Soulier syndrome" British Journal of Haematology. 87(in press.). (1994)
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[Publications] 山本正雅、他2名: "血小板の分子生物学" 金芳堂(未定), 180 (1994)