1994 Fiscal Year Annual Research Report
培養尿細管上皮細胞を用いた間質性腎炎の発症機序の解析
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05670944
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
上田 志一朗 千葉大学, 医学部, 講師 (50201348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 潤朗 千葉大学, 医学部・附属病院, 医員
小川 真 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (50241956)
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Keywords | 間質性腎炎 / 細胞培養 / 近位尿細管上皮細胞(PTC) / 接着因子 / 尿細管基底膜(TBM)抗原 |
Research Abstract |
間質性腎炎の発症機序を解析するために腎間質と尿細管という炎症の場を細胞培養の技術を用いてin vitroに移し、細胞レベルひいては分子レベルの解析を可能ならしめることを目的として本研究を企画した。まずマウスの腎臓より近位尿細管上皮細胞(PTC)の分離、純粋培養を試み成功した。培養された細胞は形態、ドーム形成能、γ-GTP染色などでPTCと証明された。尿細管基底膜(TBM)抗原は自己免疫性間質性腎炎の自己抗原であるが、TBM抗原に感作されたリンパ球はin vivoの系において強い間質性腎炎惹起性を持つ。そこで培養したPTCにTBM抗原に感作されたリンパ球を試験管内で作用させることにより惹起される尿細管細胞の変化を解析した。すなわち、BALB/cマウスより得たTBM抗原感作リンパ球をin vitroでBALB/cマウス由来のPTCに作用させたところ、炎症の発現進展に重要な役割をはたす接着因子の一つであるIntercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)がPTC表面に誘導された。またBALB/cマウスのTBM抗原感作リンパ球はBALB/c由来のPTCの対して細胞障害性に働いていることが確認できた。正常リンパ球や他の抗原(肝抗原、DNP-KLH)で感作されたリンパ球にはこのような現象を惹起させる活性はなく、TBM抗原感作リンパ球のPTC細胞障害惹起性は抗原特異性があることが示唆された。このように、実際の生体で起こる複雑な反応の一面を単純な系で分析することが可能となり、今後の間質性腎炎の発症機序に関する研究に大きく関与することが推測される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 堀潤朗(他7名): "培養尿細管上皮細胞を用いての間質性腎炎の発症機序の解析 -尿細管基底膜(TBM)抗原感作リンパ球によるICAM-1の誘導-" 日本腎臓学会誌. 37(発行予定). (1995)
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[Publications] 上田志郎: "Annual Review腎臓" 中外医学社, 5 (1994)
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[Publications] Shiro Ueda: "Clinical Nephrotoxins" Decker,New York, 15 (1995)