1993 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓近位尿細管に存在するD-アミノ酸酸化酵素の遺伝子構造と生理的役割の解明
Project/Area Number |
05670959
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
金野 柳一 独協医科大学, 医学部, 講師 (30129043)
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Keywords | D-アミノ酸酸化酵素 / ミュータント・マウス / 生理的役割 / D-アラニン / 無菌化 / 腸内細菌 / 光学異性体 / 尿 |
Research Abstract |
腎臓の近位尿細管には非天然型のD-アミノ酸を選択的に分解するD-アミノ酸酸化酵素が存在するが、その基質となるD-アミノ酸は高等動物にはほとんど存在しないと言われているので、この酵素のもつ生理的役割は全く不明である。この酵素の生理的役割を解明するため、我々はD-アミノ酸酸化酵素を欠損したマウスの系統を樹立した。このマウスでは尿中に多量のD-アラニンが存在していた。このD-アラニンの由来は不用であったが、細胞の細胞壁にD-アラニンが存在することから、腸内細菌に由来するのではないかと考え、それを確かめる実験を行った。 妊娠末期のD-アミノ酸酸化酵素欠損マウスから子宮を摘出し、アイソレータ内で無菌的に胎児を取り出し、それを無菌の里親に哺育させ、無菌のミュータント・マウスを作出した。このマウスの尿からアミノ酸を抽出し、アミノ酸分析を行うとともに、アラニンを抽出し、高速液体クロマト法を用い、D,L体分析を行ったところ、D-アラニンの量は無菌マウスでは普通の飼育室で飼育されているミュータント・マウスの約13%ぐらいに減少していた。この無菌マウスに、グラム陰性の腸内細菌である大腸菌とバクテロイデス菌を与え、腸内に定着させたノトバイオート・マウスを作出したところ、尿中にD-アラニンが多量にみられるようになった。このマウスに更にグラム陽性の腸内細菌であるビフィズス菌とユ-バクテリウム菌を投与し、腸内に定着させたところ、尿中のD-アラニンの量は更に増加し、普通の飼育室で飼育されているミュータント・マウスの約70%ぐらいにまでになることがわかった。これらの結果から、D-アミノ酸酸化酵素血管マウスの尿中に存在するD-アラニンの大部分は腸内細菌由来であること結論された。
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