1993 Fiscal Year Annual Research Report
急性腎不全の修復における上皮細胞成長因子の関与についての遺伝子レベルからの解析
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05670964
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
飯塚 一秀 昭和大学, 医学部, 助手 (60255833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 吾志夫 昭和大学, 医学部, 講師 (50211660)
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Keywords | 急性腎不全 / 上皮成長因子 / 塩化第2水銀 / 免疫組織化学 / 抗血小板抗体 / 尿細管壊死 |
Research Abstract |
上皮成長因子(epidermal growth factor:EGF)は細胞の増殖・分化に関わる因子である。今までにEGFが急性腎不全(ARF)の修復において重要な役割を担い、また血小板数を減少させることでARFの腎障害を軽減できることを報告した。EGFとARFの修復過程への関係を明らかにするために、ARFラットおよび血小板数を減少させARFの進展を抑制したラットの腎におけるEGFおよびそのgene levelでの発現を検討した。方法で用いた抗血小板抗体(APS)はラット血液より採取・精製した血小板をヤギに投与し、抗ラット血小板抗体を産生させた後に血清より分離精製した。そしてAPSの前投与により血小板数を5×10^4/mul以下とし、HgCl_2誘発ARFラットにおいてその腎障害を抑制することができた。これにより血小板減少させたARF抑制ラット、血小板減少なしのARFラットと正常ラットを用いて、その全腎組織と単離糸球体におけるpreproEGFmRNAの発現をNorthern analysisで検討し、さらにEGFの腎組織内局在との関連についても検討することができた。その結果、APS投与群(ARF抑制群)では比投与群に比し尿細管障害は著明に軽減されていた。またpreproEGFmRNAは正常ラット腎組織で高い発現を示したがARFラットでは著明に低下していた。しかし、APS投与群ではその発現の回復傾向がHgCl_2投与後12時間後より認められ、尿細管壊死の完成する24時間後に著明となっていた。単離糸球体では全てのラット間でpreproEGFmRNAの発現には差が認められなかった。正常ラットでEGFは遠位尿細管を中心に局在したが、ARFラットでは近位尿細管にも認められた。以上より、EGFのdistributionの変化がARF腎組織内でおこる。また、preproEGFmRNAの著減がARFでおこるがARF抑制ラットではその発現の改善が認められたことより、EGFは尿細管障害の修復過程において重要なmediatorとして作用していると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 飯塚,一秀: "急性腎不全ラットの近位尿細管におけるEpidermal Growth factor局在の意義" 日本腎臓学会誌. 35. 1015-1021 (1993)
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[Publications] 吉村,吾志夫 他1名: "慢性腎不全と成長因子、サイトカイン、細胞外基質の関与" 内科. 72. 273-276 (1993)
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[Publications] 吉村,吾志夫 他2名: "Annual Review 腎臓" 越川昭三,長沢俊彦,小磯謙吉,伊藤拓, 269 (1994)