1993 Fiscal Year Annual Research Report
IgA腎症惹起性抗原によるメサンギウム細胞の活性化機構の解析
Project/Area Number |
05670965
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
酒井 紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40056560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長澤 龍司 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70146794)
宇都宮 保典 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70231181)
川村 哲也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20161367)
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Keywords | IgA腎症 / メサンギウム細胞 / IgA免疫複合体 / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
本研究はで、IgA免疫複合体を構成する分子が糸球体メサンギウム細胞の活性化を引き起こす可能性を明らかにする。そのため、1.IgA免疫複合体のメサンギウム細胞の増殖、細胞外基質代謝に及ぼす効果、2.メサンギウム細胞の活性化にともなう情報伝達分子の同定を研究目標にしている。平成5年度は以下の研究実績を得た。 (1)ヒト メサンギウム細胞の培養系の確立:腎癌症例の手術で摘出された腎臓の健常部分を用い、sieving法にて糸球体を採取して20%胎児牛血清添加培養液にて培養し、継代培養後ヒト メサンギウム細胞のcell lineを確立した。 (2)糸球体ならびに血清からのIgA免疫複合体の抽出:糸球体腎炎の疑いで入院した患者から血清を採取し、腎生検にてIgA腎症と診断された症例の血清をプールした。HPLCにて分子量別に分画後、ERISA法にてmacromolecular IgAを含む分画を採取した。さらに、IgA免疫複合体はafinity columnにて抽出した。 (3)メサンギウム細胞の活性化にともなう情報伝達分子の同定:メサンギウム細胞の増殖や細胞外基質代謝には、tyrosine kinaseが関与すると思われるので、従来報告されている種々のtyrosine kinaseのcDNAのsequenceから、conserveされているkinase domeinをdegenerate primerとして用い、RT‐PCR法にてメサンギウム細胞のm‐RNAをamplifyした。その結果10種類のtyrosine kinaseが得られた。そのsequence analysisから、これはnon receptor flk,ufo,flt‐1,Tyro‐6,IGF‐R,c‐abl,B‐raf.c‐yes,JRK2と同定されたが、一つは既知のsequenceと異なり、新たなtyrosine kinaseと考えられた。したがって、メサンギウム細胞でも細胞内の情報伝達に、receptortypeやnon‐receptortypeの多数のtyrosine kinaseが関与することが推測され、tyrosine phosphorylationがメサンギウム細胞の活性化に関与していることを強く示唆するものと考えられる。
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