1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670988
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石川 成美 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60232253)
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Keywords | リンパ / 肺循環 / 低酸素 / エンドセリン |
Research Abstract |
組織間液はリンパとして組織から排出され、リンパ管、胸管を経て、体循環系である大静脈へ流入する。このリンパ循環におけるリンパ管自体の役割を解明する事を目的として、研究を継続している。羊を開胸し、肺を単離、潅流する。肺からのリンパを採取し、量の計測と血管内皮由来の血管収縮物質であるエンドセリンを測定するため、縦隔のcaudal mediastinal nodeからのリンパ管に挿管したモデルで実験を行っている。 肺動脈圧10〜15cmH_2Oで還流された肺からは2〜4ml/hourのリンパの排出が認められる。このリンパ排出量を変化させる目的で、肺換気の酸素濃度を21%から10%への低酸素負荷1時間を加えると、肺動脈圧は1.5〜2倍になる。これに伴い、リンパ排出量は4〜8ml/hourへ増加し、低酸素負荷解除後も、このレベルを保った。 肺の潅流液中のエンドセリンの濃度は0.5〜4pg/mlで、低酸素負荷後に漸増し、5〜15pg/mlに達する。リンパ液中の濃度は1.5〜3pg/mlで低酸素負荷後5〜10pg/mlへ上昇する。血中濃度と同程度であるが、肺静脈血中濃度より高値を示すことがある。低酸素状態など血管障害をきたす状態、または単純に実験のプレパレーション続行に伴い、リンパ液中のエンドセリン濃度(ET-1)は漸増し、肺からのリンパ量も増加することが判明した。組織から排出されるリンパ中にエンドセリンが認められること自体、新しい知見であるが、このリンパ液中のエンドセリンが血管内皮で産生されたものが血中、リンパ液中に同時に平行して出現してきたものが、血中エンドセリンが血管内から組織内、さらにリンパ液中に移行し出現したのか、リンパ管自体に産生能があるのか、極めて興味深いところであるが、さらなる検討を要する。
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