1993 Fiscal Year Annual Research Report
有茎腸管平滑筋移植による肛門括約筋機能不全に対する治療の研究
Project/Area Number |
05670996
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
新井 英樹 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (80222719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 隆 富山医科薬科大学, 医学部・附属病院, 助手 (90162312)
田沢 賢次 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (80018887)
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Keywords | 有茎腸管平滑筋移植 / 肛門括約筋機能不全 |
Research Abstract |
我々は、これまで腸管平滑筋を移植した人工肛門造設術を施行し、より機能を保ち平滑筋組織が長期間保持されるには、有茎移植がすぐれていることを、臨床例、動物実験において研究し報告してきた。今回この研究をもとにして、腸管平滑筋移植が超低位前方切除術施行後の肛門括約筋機能不全による排便障害を予防できるか、括約筋の代用となりうるかを検討した。 雑種成犬を用い、S字結腸で結腸を切断しその口側3cmの結腸の漿筋層を利用する。 この漿筋層は血管だけを温存しDenervationの状態とし口側の結腸に縫着する群(1群)、利用する3cmの結腸は切断せず長軸方向に切開を加え粘膜除去をし漿筋層のみ翻転するように口側の結腸に縫着する群(2群)を作製し、外肛門括約筋のみを残し器械吻合した。対象としては低位前方切除のみとした群(3群)とし各4頭ずつ作製した。感染症のため死亡したので3頭ずつについて検討した。 i)排便状況であるが、3ケ月間での観察では第3群は、便失禁状態がずっとつづく状態であり、1群、2群は、術後2ケ月前後から軟便から普通便を一時に1ケ所にまとめてするようになることが多かった。 ii)内圧検査では、1群、2群に昇圧帯を認めた。 iii)平滑筋組織は、3ケ月後に観察したがよく残存していた。 すこし便がかたまってくると1群、2群で比較すると1群に良好群が多かった。 以上より有茎平滑筋移植は、肛門括約筋機能不全に有用であることが示唆された。
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