1993 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化性動脈瘤壁への炎症細胞浸潤と瘤の進展について
Project/Area Number |
05671013
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮内 好正 熊本大学, 医学部, 教授 (00009458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇藤 純一 熊本大学, 医学部, 助手 (00253732)
後藤 平明 熊本大学, 医学部, 助手 (50136727)
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Keywords | 大動脈硬化症 / 炎症性腹部大動脈瘤 / 炎症細胞浸潤 / リンパ濾胞形成 / 動脈線維化 / 大動脈瘤進展 |
Research Abstract |
熊本大学第一外科および済生会熊本病院で手術した腹部大動脈瘤39例について、術中採取した動脈瘤壁の構造をHE標本で観察し、うち17例については凍結標本を免疫染色にて浸潤細胞中のマクロファージ(MPHI)、B-cell、T-cell、T-cell subtype、HLA-DRを同定した。各症例の臨床所見、検査および術中所見も対比させ検討した。対照としては膠原病および血管炎を除く同年令の剖検例5例の動脈壁を選んだ。 結果と考察:炎症性動脈瘤壁の厚さは3mmから12mmで外膜の強い線維化の部位に著明なリンパ球、形質細胞の巣状および、びまん性の浸潤があり、一部にリンパ濾胞形成がみられた。濾胞中心にはB-cellが集族し、その周囲および間質のT-cellはCD4>CD8であった。MPHIはびまん性に認められた。 興味あることには、炎症性動脈瘤以外の動脈瘤でも線維化や炎症性細胞浸潤が軽度であるにもかかわらず炎症性大動脈瘤と同様のリンパ濾胞様構造や炎症細胞の比率を示す例が少なくなかった。 そこで外膜を含めた動脈壁の炎症細胞浸潤の程度と赤沈、壁の厚さ、瘤径との相関を調べると、これらの間に明らかに有意の相関を認め、年令も高齢になる傾向がみられた。 以上より、動脈瘤進展に炎症細胞の関与が示唆された。しかし、炎症性動脈瘤に特徴的な線維化と炎症細胞との関係につていは更に検討を要する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 岡本 実: "動脈硬化性腹部大動脈瘤壁における炎症細胞浸潤と瘤の進展について" 日本心臓血管外科学会雑誌. 23. 225-225 (1993)
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[Publications] H.Goto: "Surgical treatment for the aneurysm of ascend.& arch aorta" Proceeding of Ist Asian Soc.Cardiovasc.Surg.45-45 (1993)
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[Publications] Y.Miyauchi: "Intractable Vasculitis Syndroms:Clinical features and treatment of inflammatory abdom.aortic aneurysm" Hokkaido Univ.Press, 8 (1993)