1994 Fiscal Year Annual Research Report
ケトン体投与によるbacterial trauslocation抑制に関する研究
Project/Area Number |
05671024
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
島崎 修次 杏林大学, 医学部, 教授 (90028689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
行岡 哲男 杏林大学, 医学部, 助教授 (00182668)
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Keywords | Bacterial Trauslocation / 腸内細菌 / 経腸栄養 |
Research Abstract |
Bacterial Translocation(BT)は、MOFや敗血症をpromoteする要因の一つと考えられている.本年度は腸管の主なエネルギー基質であるケトン体の経口投与が,BTに及ぼす影響をラットの熱傷モデルで検討した.Wistar ratの背部に,Walker法で25%TBSA III度熱傷を作成した.熱傷作成後,12時間毎に5%D-β-ヒドロキシ酪酸溶液をゾンデで1.5ml注入した(ケトン体群).対照として,ケトン体群と同濃度のNaを含む生食群と,同カロリーの糖質を含む糖液群をもうけた.72時間後,無菌的に開腹し,腸間膜リンパ節(MLNs),肝,脾と盲腸を摘出し37℃で24時間培養した.細菌数は臓器重量あたりのコロニー数すなわちCFU(colony-forming units)で示した.結果:腸内(G)の単位細菌数あたりの,腸間膜リンパ節(M)への転移量を,M/G BT ratioとして評価すると,結果は以下の通りであった. Group CFU of MLNs(CFU/g) M/G BT ratio(log10) 生食群 195.7±115.2 -5.69±0.52 糖液群 157.1±102.1 -5.46±0.58 ケトン体群 38.19±64.44^* -7.16±0.74^* ^*:ケトン体群vs.生食,糖液群:p<0.05 本実験系において投与したケトン体は,熱傷急性期のBTを抑制した.ケトン体は,本実験系のように少量の投与でもBTを抑制する可能性がある.またM/G ratioの低下は,ケトン体群でmucosal barrier functionが保持されていることを示している.侵襲期に,不足しがちな腸管のエネルギー源を,ケトン体という形で補給することにより,腸管上皮に好影響を与えた可能性が示唆された.
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